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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
三方向作戦! 三カ国を巡るリーヨンちゃんとピコちゃん編
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9月28日 ホビットの国 オーク秘宝『エターナルウォーター』を発見する


 おそらく平成26年9月28日

 剣暦××年8月28日


 ホビットの国ムーンスレイブ

 ホビット忍者の隠れ里 薄墨の村

 村のはずれ


 実は、オーク秘宝『エターナルウォーター』については、僕も見たことはない。

 ジンさんの説明では、青く光る、透き通った宝石らしい。

 他の七大秘宝と同じく、見ただけで「ああ、これだ」とわかるほどの存在感を示す、とても美しい、石。

 王位継承者に、代々受け継がれてきた、大切な宝物。

 それを豊後恵が強奪したのが先代王の頃。

 そして、それをホビットの国に持ち込んだ。


 以前、豊後とのギャンブル勝負で、どこに隠したかを聞きだし、その隠し場所の半径50mに近づかないという条件を飲ませたため、探しにも行かずに放置していた。その方が秘宝自体は安全だったのだが、国体の運営という面ではそういうわけにもいかない。



 そんなこんなで、僕達は隠し場所であるという情報のある、薄墨の村に着いたのだった。

 

 さて、僕とリーヨンちゃんが村に着いたことで、すべてがうまくいくと思っていたが、全然そんなことはなく、なんとユキくんもハパナ陛下も薄墨の村の住人の皆さんに、僕達が何のためにここまで来たのかを説明していなかった。



 おかげで、怪しげな異世界人と人とオークの混血娘とダークエルフという不気味なトリオが、村長宅で朝ごはんを食べる始末。


 ホビット語は不明だが、村長さんの「で、あなた方は何しに来たんですか?」オーラにこたえるべく、説明をしなければならない。


 しかし、僕は日本語と片言の剣祖共通語しか使えない。

 リーヨンちゃんも、オーク語と剣祖共通語

 ピコちゃんに至ってはエルフ語と剣祖共通語で「旦那さん御茶入りました」しか言えない始末。



 

 結局、三者三様の身振り手振りで、村長に事情を説明。


 午前中に、何か納得したらしい村長に連れられて、ホビットの国の特産である里芋畑を見せられた。

 全力で違うことをボディランゲージし、もう一度身振り手振り。


 ああ、あれか。というような顔をして次に連れて行かれたのが、ホビット忍者達の修錬場らしきアスレチック広場。

 違うんだよなあ。

 何か、ピコちゃんはノリノリでアスレチックを飛び回っていた。


 その後、酒蔵、けむり玉職人の小屋、村で一番大きな書庫のある人の家とか、色々案内された。

 それはそれで面白いんだけれど、違うのだ。

 こんちくしょう、案内人がいないとやっぱりきつい。

 きつさが段々露呈してきた。



 それでほぼ一日使ってしまった。



 日が傾きだして、やっと閃く。


 リーヨンちゃんに、オーク語でエターナルウォーターをなんて言うのか教えてもらい、一日案内に付き合ってくれた村長に伝える。

「ドルアッチェ」

 やっと、村長が忍者っぽいマジな顔になって村のはずれの岩場に連れて来てくれた。




 ※※




 起伏激しい岩場の奥深く。

 ぜーぜー言ってるとピコちゃんに背中を押してもらいながら、歩く。


 なんとか、日没までに目的地に着いた。


 そこに、一際巨大な岩が一つ。


 高さ10mくらいあるあろうか。


 とても、とても大きな岩が一つ。


 この岩は、聞いたことがある。


 確か、オーク岩だ。名前の通り、オークの国でしか見れない石。

 とにかく丈夫な岩で、欠けたり割れたりしないので有名。とても硬く、とても重い。そして、加工もとにかく難しい。

 初代オーク王の七振りの棍棒の一つは、これから削っているというが、未だに加工法が判明していない。

 怪力の魔道具を使う魔女重機でもなければ移動不可能という重石。

 オークの国の公共施設には、大抵庭石として飾ってある。

 しかし、こんな大きさの岩は王宮にもなかった。


 見る人がみれば、不自然だと、わかる。



 村長が、岩を指差して、告げた。

「ドルアッチェ」


 かつて、豊後は僕に言った。

「場所は、ホビットの国 薄墨の村。ただし、オークでなければ手に入れられない」

 オークでなければ、手に入れることができないとされる石。

 あの大きな岩。

 つまり、そういうことだろう。 


『リーヨンちゃん』

 剣祖共通語で、彼女に話す。

『おそらく、この岩の下 エターナルウォーターある。岩を持ち上げてどけて欲しい』

 え? 私が?! という顔をしたが、それ以外あるまい。

 

 破壊できないほど丈夫で、人力では持ちあがらないほど重いのだ。


 オークの怪力でどかすしかあるまい。 


「がんばれ! がんばれ!」

 応援する。

「ガンバレ! ガンバレ!」

 ピコちゃんも僕の真似して応援を始める。

「ガッバーレ! ガッバーレ!」

 ノリのいい村長さんも、僕の日本語の発音を真似て意味もわからず応援。



 リーヨンちゃんは、仕方ないなあと言う顔をして

『やるだけやってみます』

 と腕まくりを始めて、岩に近づいた。




 結論から言おう。


 持ちあがった。



 投げ飛ばした。



 岩は、粉々に砕け散った。



 え、壊れないくらい硬いんじゃなかったの? と思ったが、どうやらリーヨンちゃんが抱えた時に力を込め過ぎてひびがはいったようだ。


 ……すげえな、オーク。

 リーヨンちゃんの怪力は、オークの域すら超えている。

 もしかしたら、この大陸で一番力の強い生物かもしれない……。


 さて、肩で息するリーヨンちゃんを胴上げしたいところだけれど、早く見つけねば。


 岩のあった跡をくまなく探すが、エターナルウォーターがどこにもない。


 たしか、青く光る宝石だと聞いていたのだけれど。


 まさか、地面に埋めているのか?



 あれ、ここまで来たらあとは楽勝で見つかると思ったのに。



 リーヨンちゃんとピコちゃんと三人でうろうろ石を探していると、村長さんが声をかけてきた。

 粉々になった岩石を指差し「ドルアッチェ」

 ……もしかして、この岩の中に隠されているの?

 なら、粉々にしなければ見つからなかったってことか。


 つまり、リーヨンちゃんでないと見つけられなかったってことか。


 流石だね。



 リーヨンちゃんとピコちゃんと三人でうろうろと岩を漁っていると、村長さんが声をかけてきた。

 粉々になった岩を大きく全て示して「ドルアッチェ」

 ……。



 嫌な予感がしてきた。



 岩のかけらの一つを拾って、村長さんに見せる。

「ドルアッチェ?」

 頷く村長。


 別の岩のかけらを一つ拾って、村長さんに見せる。

「ドルアッチェ?」

 頷く村長。


 そこいらに散らばる岩を全て示して、村長さんに訊く。

「ドルアッチェ?」

 頷く、村長。



 ああ、



 つまり、



 あの超巨大な岩石そのものが、オーク秘宝『エターナルウォーター』だったのか。




 やばい、国宝を粉々にした。

 

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