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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
三方向作戦! 三カ国を巡るリーヨンちゃんとピコちゃん編
85/363

9月21日 ホビットの国 紺碧の村に到着 何故かピコちゃんとホビット王が村にいた

 おそらく平成26年9月21日

 剣暦××年8月21日


 ホビットの国ムーンスレイブ

 南の森内 紺碧の村



 トイレ前にテントを張って、一晩明かす。


 朝起きて、顔を洗おうと外に出たら、目ん玉ひんむいてテントを凝視するホビット2人と遭遇。

 第一村人発見。

 紺碧の村の住人らしく、僕を見るや、ホビットよろしく「カンテラ! カンテラ!」と抱きついてきた。

 紺碧の村は、僕が異界ラドゥバレトフについて最初に訪れた村である。

 南の森の中に突然迷い込み、困っていた僕を何か怪物かオークかと思い、捕獲し木製の檻に閉じ込めたのが、彼ら紺碧の村の住人である。

 色々あって意気投合して客人として出迎えてもらって、約1週間ほど滞在した。

 ジンさんと出会ったのも、ここなのである。

 まさか、公衆トイレを作る程に成長していたとは思わなかった。 

 結局未だにホビット語は喋れないので、ユキくんに通訳してもらう。

 僕よりもさらに背の高い獣頭人を見て「デカブツ! デカブツ!」とかまた興奮している。彼らに間違った日本語を教えたのは、どこの誰なのだろう。


 僕の知る限り(というか、ジンさんが教えてくれた限り)、ホビットに影響を与えた日本からの異界漂流者は、ホビットに忍術を教えた『名もなき兵法者』とトランペットとテキーラを伝えた音楽家『初代シャック・ジョリーン・シックス』くらいなのだけれど。(人によってはここにイタダキマスを広めた僕の名前を入れる人もいるが、実際にその言葉を広めたのは僕の言葉を聞いて真似し出したホビット自身であるのだけれど)


 その後、リーヨンちゃんを見て、なんか息を潜めた。リーヨンちゃんはその彼らの変化に疑問を持ったようだけれど、まあね、オークの雰囲気を残した人間の美女なんて、ホビットからしたら異世界人だわな。

 すると、ホビット達がユキくんに何か言った。

 ユキくんは、少し考えた後、僕に正確に通訳した。

「この前と連れている女が違うけれど、そこは話題に触れても大丈夫なのかを確認したい、とのことなのです」

 大丈夫だっつーの。




 それから、紺碧の村に案内してもらう。

 迷いの森という割に、獣道はどんどん広がり、整備されていき、最早きちんとした里道の形状である。

 迷う要素がなかった。なんで昨日僕達が通った道はあんなに獣道していたのだろう。

 ……入口を間違えたのだろうか。

 まあいい、村長に挨拶して、泊めてもらえるようになったら、早速そこら辺を教えてもらおう。


 そうして、やっとこさ紺碧の村についた。

 が、何やら騒がしい。妙な、なんと言うか、混乱の騒がしさである。

 嫌な予感がして、歩みを速め村に入ると




 何故か、ピコちゃんがそこにいた。

 ウチのメイドで、ダークエルフで、今は人間の国のセンチペドで観光をしているはずの、ピコちゃんが。


 そして、何故か、ホビット王ハパナ・ムーンスレイブ王がそこにいた。



 ……。簡単に言うと、ピコちゃんがハパナ王の顔面にグーパンを入れたらしく、急造で作った丸太の檻の中に放り込まれていた。


 な、何を言っているのかわからねーと思うが、僕も何が起きたのかわからねー。


 なんだろう、ダークエルフには偉い人の顔面にグーパンを入れる文化でもあるのか? 

 そして、ホビット王の無駄に軽快なフットワークも、何なのだろう。この人、自分がホビットの中で最も偉大な存在だとわかってるのだろうか。



 そして、この状況で、僕が一番気にしていること。


 王様がここにいるということは、まさか、あのホビット姫まで来てるとか言わないだろうな。



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