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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
三方向作戦! 三カ国を巡るリーヨンちゃんとピコちゃん編
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9月20日 ウチのパーティはガンガンいこうぜ派だった あと ホビットの公衆トイレ


 おそらく平成26年9月20日

 剣暦××年8月20日


 ホビットの国ムーンスレイブ

 南の森


 予定では昨日の夕方に辿りつく予定だった『南の森』に、今日の午後、太陽が西に傾きだして、やっと着いた。

 やれやれ、やっとこさだ。

 別名迷いの森と呼ばれ、とても道に迷い易く、ホビット達が自分達が通るところだけ草を踏み倒し道を作っているので、それを頼りに紺碧の村まで行かなければならない。生い茂る森の入口に、細い一筋の獣道。なんか、ぱっくり開いた口から見える舌のような形相。

 これ、迷子になりそうだ。


 明日はこの森を抜ける。ユキくんやリーヨンちゃんのペースに着いて行けるだろうか? と不安を感じる。

 まずは、明日に備えて早いけど野営の準備を始めようとしたら、ユキくんが「では、早速森に入りましょう」とか言い出した。

 え?

 リーヨンちゃんも、出発する気満々である。


 いやいや、後二時間くらいで日没ですぜ。

 この森別名『迷いの森』と言われるくらい道に迷い易いんですぜ。

 しかもこのパーティ、森林にあんまり詳しくないでしょう。

 今から入ったら、絶対迷子になりますがな。


 と、説明しようとしたけれど、疲れ過ぎて頭が回らず、黙って従ってしまった。



 迷いの森、突入。



 おかげで、昨日の日記を、今日書いている。




 ※※



 結論から言おう。


 迷った。



 周りの景色の違いもわからず、ただ、歩いた形跡を追って森の中を分け進む。


 僕は、リーヨンちゃんの背中を追う。


 リーヨンちゃんは、ユキくんの背中を追う。


 そして、ユキくんは僕の背中を追っていた。



 ???


 一度、立ち止まり、位置関係を確認。


 僕達三人、いつの間にか三人、円になって、同じところをぐるぐる回っていたらしい。


 冷や汗。



「迷ったね」

 と質問すると

「僕、迷子になるの初めてなのです」

 とか浮かれていた。

 こ、この子ポジティブだなー。


 リーヨンちゃんは、相も変わらずニコニコ……していない。なんか、切羽詰まった顔をしていた。

 やめて! 普段ニコニコしている人が、そんな不安げな顔をしたら、ガチでやばそうじゃん!

 ユキくんに通訳してもらってリーヨンちゃんに大丈夫か? と確認。

「……あの、その、おトイレに」

 とのこと。


 いいからさっさと行ってこいや。




 リーヨンちゃん茂みの中を分けいって、見えないところまで消えていく。

 

 ……いや、駄目だ。この迷いの森で別行動とったらはぐれる。


 呼びもどさねばと気付いた時にはもう遅く、リーヨンちゃんの姿は見えない。


 あ、これ、一人ずついなくなって迷子になる展開?


 と思ったら、すぐに帰ってくる。


 なんか喚くので、通訳してもらうと


「カンテラ様! ありました」


 何が?


「公衆トイレ!」


 森の中に? 


 ついて行くと、本当に木製の小屋みたいなのがあった。


 森の中にホビット小屋?


 入ると、本当に公衆トイレだった。よく作ったな。


 するとユキくんが

「このトイレの手入れ具合から見て、ホビット達はここをよく使うようなのです。この場所、日々の生活道の近くにあると考えていいので、ここで待っていればホビット達が来るはずなのです」


 あー、リーヨンちゃんが飛び出した先に正規ルートがあったとは。

 日頃の行いのおかげかね。


 すると、リーヨンちゃんがなんだかそわそわしている。

 通訳してもらうと

「あの、その、おトイレ行ってきてもいいですか」

 いいからさっさと行ってこいや。



 しかし、ホビット達が来なかったら、トイレ前で野宿になるのか?


 まさか……。


 そして、そのまさかとなるのだった。


 

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