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かんてらOverWorld  作者: 伊藤大二郎
三方向作戦! 三カ国を巡るリーヨンちゃんとピコちゃん編
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【設定編】9月19日 ホビットの国 世界廃滅主義者とは

 おそらく平成26年9月19日

 剣暦××年8月19日


 ホビットの国ムーンスレイブ

 南西部 涼しい風が日中吹き続ける草原



 本当は今日中に草原を抜けて『南の森』に入りたかったのだけれど、僕がダウンして、途中でキャンプすることに。

 脚が動かない。疲れた。僕もそれなりに我慢強いし旅にも大分慣れたと思ったけれど、ユキくんのペースは僕の想像以上で、着いていけなくなってしまった。

 獣頭人って本当体力あるなあ。

 流石にリーヨンちゃんも大分疲れていたけれど、オークの混血である彼女の回復力はすさまじく、休憩取ったら、すぐ元気に。

 これが、若さだろうか……。


 申し訳ないけれど、僕の体力に合わせてもらう。

 いきなりの、タイムロス。これは、もしかするとタイムリミットぎりぎりまで時間を取る旅になるかも……。

 今まで、こんなことなかったのにな。


 もしかして、いや、もしかしなくても、ジンさんは、僕の体力やペースに合わせた日程を組んで旅をしてくれていたのかもしれない。

 やっぱり、熟練の案内人だったんだな。

 かと言ってユキくんにそんなことを求めても、彼も困るかな。


 しかし、ユキくんは貪欲だ。

 色々と、僕が体験してきた旅の話を聞きたがった。僕が実際に見て来た異種族の文化、生活様式、流行、法律、何を好んで、何に怒るのか。

 本当に、色々。


 夕飯時には、今度は世界廃滅主義について訊いてきた。

 うーん、これについて語り出すとかなりディープな話題になるし。

 簡単に説明するだけにとどめた。



 ※※


「世界廃滅主義てのは、誰が言い出したのか忘れたけれど、最近流行しだした言葉なんだ。そう、僕がラドゥバレトフにやってくる少し前くらいに」

「僕も里の外に出るまで、聞いたことがなかったのです。カンテラさんがそれだと、よく聞くのです。でも、先月草原の国で起きた侯爵誘拐に関わる国家転覆をはかったテロリストも、世界廃滅主義者だと言われているのです。その2つが結び付かないのです」

「だよねー。それはね、世界廃滅主義って言葉にちゃんとした定義がないせいだね。皆、自分がそう思った連中にそういうレッテル貼ってるだけだから」

「……実体は、ないのです?」

「共通点はあるんだよ。早い話、世界廃滅主義者ってのは、『能動的に他国同士を接近させようとする者』そして『その行為を肯定する者』のことだと僕は考えてる」

「……それは世界廃滅と言われなきゃいけない程にひどいことなのです? というか、それって融和主義と何が違うのです」

「非合法な手段を取るか取らないか、じゃないかな。詳しい定義はないんだよ。それを恐れる人達にとっては、脅威なんだろうね。僕やユキくんにとって異種族人なんて、いて当たり前でも、自国で一生を過ごすはずの人達にとっては、世界の果ての向こう側の住人。それと交わらなきゃならないなんて、かなり衝撃のはずだよ。異文化他種族との衝突で戦争が起きてしまったために、分断主義なんて言って引きこもってしまったこの世界にとっては、特に」

「でも、先日のテロリスト達は、要人に変装して城に侵入して、国の秘宝を奪おうとしていたと聞いたのです。それって、能動的に他国同士を接近させようとしていたのです?」

「あいつらは、七つの国の秘宝を奪って、世界中を混乱に陥れて、自分達の思うがままに操ろうと画策していたからね。秘宝とは、つまり剣祖から王が賜った王位継承者の証だから」

「なんでそんなこと……」

「それで得をする奴がいるんだろうね」


 そこで話はやめておいた。

 何しろ、本当のことは言えはしない。

 七つの秘宝を集めることで、封印された最後の魔道具・世界廃滅兵器『魔王』が起動するとか、魔王を手中にすることで世界を掌握し、恒久的平和を実現させようとか考えてるアホが世界廃滅主義の真の元凶・異世界人『豊後恵ぶんごともえ』とその配下である『ブンゴの遺志を継ぐもの』であることは、今は言うのはやめておこう。

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