第六十二話 作戦会議
演技の練習をたくさんした日。
わたしは、やらないといけないことを同時に思い出していた。
この体の出番が終わって死んでしまった後、ミリシアが使うための体を作ることだ。
せっかくだからサプライズにしたいと、ミリシアにはわたしがおつかいを頼んでいて、今はいない。
『どんな体がいいのかな……』
せっかくだからと雰囲気を出すために作った分身たちに、心の声で話しかける。
もちろん、無表情のままで返事はくれないけど。
『このミリシアの体とは、違ったものがいいよね』
ミリシアがこの作った体を使うのは、物語が終わったあとだろうし……にていると、少しおかしいから。
……ということは、髪の毛の色は淡いもののほうがいいよね。
成長した物語のミリシアは大人っぽかったし、顔の作りは可愛い系かな?
目の色は……紫以外ならなんでもいいか。
うーん、と考えながら、とりあえず水色の髪の毛の女の子を作ってみる。
瞳は青色で、静かな印象の女の子ができた。
『うご……かないよね、そういうふうに作ってないから』
まずは動くように作る練習から始めた方がいいのかも。
えーっと……動くのに必要なのは、筋肉とか骨?
前世の教科書に書いてあった感じでいいのかな……
でも、あんまり覚えてないなぁ。
そんなふうに少し悩みながら、また新しく水色の髪の毛の女の子を作ってみた。
『動く……けど、やっぱりぎこちないなぁ』
わたしは小さくため息をついて、分身たちや女の子たちを消す。
……そもそも、ミリシアから好きな色とかの希望を聞いてから作ったほうがいいはず。
でも、サプライズにしたいし……
バレないように、さりげなく聞いてみようかな。
でも、できるかなぁ……そんなこと、したことないし。
うーん、と考え込んでしまう。
そんな中、後ろから小さくミリシアの声が聞こえてきた。
『リア、帰ったわ』
「あ、ミリシア。おかえり」
『ええ、ただいま。何をしていたの?』
わたしに返事をしながら、ミリシアは首を傾げる。
少し慌ててしまいながらも、わたしは考えついた言い訳をミリシアに答える。
「えっと、なんかミリシアにお世話になっているし、プレゼントしたいなって考えてて……」
『あら、そうなの? 嬉しいわ』
「本当に? よかった。あの、それで好きな色とか聞きたいんだけど……」
これなら、怪しまれないかな……?
そんな願いは叶ったらしく、ミリシアは怪しむ様子を見せずに何色がいいかしら、と考え込み始めた。
少しワクワクしながら待っていると、ミリシアが思いついたようにいう。
『やっぱり黒ね』
「黒?」
『ええ。昔は好きじゃなかったのだけど、今は大好きよ』
「そうなんだ〜……」
それはよかった……じゃなくて。
どうしよう、これじゃあ解決しないよね……
「えっと、他にはないかな?」
『他、かしら? そうね……ピンクとか、可愛いと思うわ。あまりつけたことがないのだけど……』
「そっか、ピンクか。わかった、ありがとうね!」
わたしがお礼を言うと、ミリシアはどういたしましてと嬉しそうに微笑んだ。
黒とピンク……黒は少し別の色を混ぜて、目の色にすればいいかな?
ピンクは色を薄くして、髪の毛にしよう。
完成したミリシアの体を想像しているだけで、ワクワクしてくる。
あ、でもその前に、プレゼントするものを考えなくちゃ。
新しく作った体でも使える、可愛いものがいいな。
わたしは自然と、笑顔になっていた。




