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【更新再開】朝起きたらダンジョンにいたんだが ~異世界転移?いいえここは現実世界です~  作者: sei10
第四章 夏休み編

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Side大吾 青天の霹靂?

きつく締めていたネクタイを緩め、控室の高級感あふれるソファーに腰かける。


値段相応のゆるい反発感が心地よく、先ほどまでの緊張を解きほぐしていくような気がする。


ここは探索者組合の西棟にある控室の一室だ。控室と名の付く通り、ココは招待された者が待機するスペースであり、かく言う俺も先ほどまでは大勢の記者や高名な探索者などの前に立っていた。


「っつあぁ.... もう本当、場違い感すんごいなぁ」


国内の大臣や官僚をはじめ、英傑に名を連ねる探索者や、果ては海外の有名クランマスターまで。胃に穴が空きそうなほどに濃い面子の視線が注がれるのは、何度経験しようと慣れることはない。


強者特有の威圧感をまとう、高位探索者の面々は特にだ。


レベルだけは世界三位に位置付けられるとはいえど、俺のソレは言ってしまえばハリボテに近しい。アニキに頼み込んで1週間ほどダンジョンにこもり、監督下で命の危険が無いように..... いや、アレは結構命の危機だった気がするな。


(はらわた)を生で見ることになったり、両手が吹き飛んで刀を口で咥えるのはもうコリゴリだ。


.....まぁ、そんな地獄の特訓を経て身に着けたレベルとはいえ、俺には圧倒的に戦闘経験が足りていないのは事実。


ダンジョンの一階層から探索を始める探索者は、常に自分と同レベルの相手と渡り合ってレベルを上げる。ゆえに、自然と自己流の戦い方を見つけていく。


しかし、俺はその試行錯誤の段階をすっ飛ばしてしまっている。結果として、俺の戦闘スタイルは「肉を切らせて骨を断つ」とでも言うべきものになってしまった。そうやって戦ってきたものだから、獲得したスキルの多くも自己回復系や耐久系に偏る始末。


もうさ、スキルだけ見たら天職【肉壁】のほうがしっくりくるだろう。【夜叉】なんていう高尚な言葉がもったいなく思えるよ。


いやまぁ、アニキと別れてからもそれなりに努力はしているつもりだ。


教えてもらった闘気(SP)の扱いについてもある程度は形になって来たし、特級の茨城ダンジョンでも安定した狩りが可能になり、今ではソロで60階層を目前にしている。しかし.... 頂点を間近で見たせいなのか、俺は自分の強さに自信が持てないでいた。


円卓の全員を相手にしても勝利を収められるだろうアニキに、傾国、炎神、覇王と、様々な異名で呼び讃えられる探索者の王者キング。それらに続く三番手に数えられるのは、いくらなんでも分不相応だ。



そして、こんな心持ちで高名な探索者たちを相手にポジショントークを繰り広げるのは中々骨が折れる。



「....いけないな。俺も晴れて日本トップのクランマスターになったんだ。アイツらのためにも、これまで以上に気張らなきゃいけねぇな」



雰囲気に呑まれてナーバスになった思考を切り替え、これからの展望に思いを馳せる。そうだ、プラスに考えようか。事実として、俺は田舎のチンケなお山の大将から、今日を以て世界屈指のクランマスターとして頭角を現した。


そう。今日俺が探索者協会で記者会見を行ったのは、「極東」というクランを率いる世界三位(オレ)という存在を世間に示すためだった。


今までベールに包まれていた日本所属の「世界三位(サード)」は政府と良好な関係を築いているというアピールであり、同時に自身の勢力を更に大きくするための布石。


これに際して、正式に茨城ダンジョン一帯が「極東」クランが統治する”探索者特区”として委譲され、それを以て極東... ひいては俺という戦力が日本の守護者に加わったことが世界に示されたのだ。


特級の名を冠する日本の三大ダンジョンの一つである茨城ダンジョンは、これまで周辺一帯を避難区域として隔離することで対処されていた。しかし、四国や北海道の特級を見ればわかる通り、もしも茨城ダンジョンが迷宮氾濫(スタンピード)を起こせば、首都圏を含む関東全域がモンスターのはびこる魔境と化すのは想像に難くない。


対処とは名ばかりの詭弁でお茶を濁していたというワケだ。


今までの日本は、この巨大な爆弾を抱え込んでいる状態だった。しかし、俺という特記戦力がその対処に当たることがこの会見で大々的に発表されたことで、砂上の楼閣とまで言われた日本の情勢も安定していくことだろう。


俺達極東は茨城県一帯を正式に管轄し、なおかつ強制依頼というていで特級ダンジョンの間引きを行う莫大な補助金を手に入れる。そして、政府はいつ弾けるか分からない爆弾(ダンジョン)の防波堤を手にし、それによって日に日に情勢が悪化していた原因へのきちんとした対処を行ったと宣伝できる。


両者共に Win-Winな取引だ。



「.....そういえば、アニキに鍛えてもらうように送った二人... 今頃どうしてっかな」


俺はレベル50以下から300台まで引き上げてもらった影響でステータスの構成が生存特化の(いびつ)な形になってしまったが、あの二人は既にレベルも90台で、それに加えてある程度の戦闘スタイルを確立している。


アニキの鍛え方は良くも悪くも脳き.... スパルタなので、確立した戦い方を持っていればその方向性でステータスを伸ばしていけるだろう。


.....さて、あの二人は随分と希望に満ち溢れた顔つきで出発したが、あの顔が絶望で染まるのはいつになるだろうか? ふふふ... いや、不幸を願っているというワケじゃあないが、俺と同じ苦しみを味わうヤツが増えるのは良いことだ。


他人の不幸は蜜の味とはこのことだろう。特に村田のヤツ... 最近はクランの金勘定を担当する経理部の部長に就任したのもあって、色々とやかましかったからな。ちったぁ痛い目を見やがれってんだ。なに、人並外れた強さを身に着けられるんだから、アイツも本望だろう。



「よーし、んじゃ、改めまして反響をみていこうかね」


会見が開かれてから約一時間。今頃ウチについての記事がSNSを席巻しているのは間違いない。


そう期待に胸を膨らませて、某有名SNSを開いてみると....



「はぁ?」



トレンドの欄をスクロールして目につくのは、仮面、謎の探索者、そして隠者(ハーミット)という単語の数々。前者二つは身に覚えのないことに加え、「隠者」は明らかに俺ではない.... 先ほども思い浮かべた大恩人たるアニキの肩書だった。


「いや..... いやいやいやいや」


更に詳細を検索していくと、ヒットしたのは紳士服に身を包んだガタイの良い男の映像や画像。つけている仮面の意匠も全く別物だし、なにより肩幅が二倍くらい違う。


「ばったもんじゃねぇかッ!!!!!」



その怒気を孕んだ咆哮は、周辺一帯の対迷宮氾濫(スタンピード)を想定して築かれている探索者協会支部のあちこちに亀裂を生み、探索者以外の人間を失神させ、30階層を突破した探索者をも恐慌状態に陥るるほどに強烈だった。


〇 ダンジョン探索によって受けられる国からの補助金について。


ダンジョンにはモンスターを間引きせずに放置した場合、小規模なスタンピードが起こる。よって、ダンジョンを探索しモンスターを狩る探索者には、その階層や難易度に応じた補助金が下りる。また、その補助金は税金から賄われている。


交通の便が悪い、ダンジョンの性質から探索の難易度が高い、などの理由で探索者が寄り付かない過疎ダンジョンほど補助金は高くなり、逆に多くの探索者が入場する東京ダンジョンなどの主要ダンジョンの場合は補助金もほとんどない。



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評価     喜び Lv.3

感想     歓喜

レビュー   狂喜乱舞

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