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俺は奈落の底に落ちている  作者: 緋色唯
5/10

episode5 奈落な真相

あのとき…俺は告白していなかっただって!?

俺は中1の初授業の日、衣子に告白をした気になっていたが、衣子には伝わってなかったという真実を突きつけられ、

松島の旅館、2人っきりの部屋で俺たちは驚きのあまりお酒が止まってしまった。

衣子は大変混乱されているようで…。一点を見つめていた。

いや、驚いたのは俺もなんだけどさ。こうゆう場合はどっちもあたふたしちゃ話が進まないんだ。俺が指揮をとる!!!

そして、真相を!!



奈落「え…え…え……?告白??サトが?私に??」


ドキッ…『サト』…!?昔の俺へのあだ名。なぜ急に…不意打ちは心臓に悪い…

俺は冷静になるために深呼吸をして吐くと同時に語り出した。


森「あの日俺が教室で衣子のこと『かわいい』って叫んだのを覚えてるか?」


奈落「あ、うん…なんとなく…『幼馴染だから当たり前にかわいい存在』って内容だっけ?」


森「そう。俺、そんな感じのを言ったと思う。その『幼馴染』っていうのはその場の変な空気からの逃げと、俺自身に嘘ついたんだ。」


奈落「んじゃかわいいっていうのも嘘…」


森「いや違うって!!…っ!なんでこう、小っ恥ずかしい事言わなきゃなんないんだ…」


俺は赤た顔を隠したくて少し俯き、右手で顔を覆った。

衣子は恥ずかしそうに俺を見た。


森「あん時俺の周りにいた友人が『髪の伸びる人形見たい』ってお前の悪口言ってたから、腹たって、つい、本音で『そこがかわいいんだ』って言ってしまったんだよ…それで変な空気になってしまったもんだから急遽変な言い訳をした。俺はこの会話を衣子に聞かれてないもんだと思っていたんだ。」


奈落「でも私は聞こえていた。」


森「そう、それを知って、俺は早とちりしてしまったみてぇだな。衣子の話聞くと。俺はてっきりそれを『告白した』という前提で放課後衣子と話したんだ。」


奈落「…」


森「そして、俺は『昔みたいに仲良く戻ろう』と言った。でも衣子は拒否した。『昔みたいに戻れるわけない』と。だけど俺が『戻れる!衣子の事泣かす奴は俺が追っ払ってやる!』って言ったら、『俺と居ると涙が出てくる』と返事が帰ってきた。俺はその言葉は『ごめんなさい』ていう風に聞こえたんだよ。」


奈落「…」


衣子は今なにを考えているのだろう。真顔だけどどこか哀しそうに見える。覚悟はしている…ゆっくりでいい。

俺は衣子が口を開くのを待っていた。




奈落「…その私が言った『もう昔には戻れない』って言葉が私にとっての告白だだったんだと思う…」


へ?


奈落「私にとって森は幼馴染ってだけじゃなくて憧れでもあったんだよね。誰とでも馴染めて、明るくて。私とは正反対で。そして面倒見が良かった森は私にとって兄みたいな存在だと思ってた。」


森「思ってた…って事は、

ち、違かったのか…?」


奈落「うん。」


う…ちょっとショック…


奈落「好きな人…初恋相手だったんだよね。きっと。中学に上がるまでにいつのまにか憧れを超えて、好き…になってたんだよね」


え…?うそだろ?う、うそだろ…??

ちょ、待って。脳が追いついていかない…。俺もう明日死ぬのかな!?


森「え…んじゃ、『もう昔みたいには戻れない』っていうのは、あの事故があったからではなく、俺の事が…す、好きって事に気付いたから…って事なのか?俺は今そう自惚れていいのか?」


奈落「…」


衣子は俯きながらこくんと頷いた。

まじかよ…。俺ら両思いだったって事かよ…。


森「じゃあ、『俺と居ると涙が出てくる』っていうのは…」


奈落「…好きだから…涙が出てきた。

好きだけど、森は私のことなんて手のかかる妹みたいな存在でしかないって事に気付いて、私は噂が立てられるような女だし…周りのかわいい女の子と笑顔で話す森を見て、あぁ、私ってされど幼馴染なんだな。って実感して。涙が…止まらなかったの…だから、あの教室から逃げ出したの……そして今もほんとは…好き…こうやって一緒に働いたり旅行したり夢みたいだよ」


衣子は俯き両手で顔を覆い、ぐすぐすと泣き出した。俺は呆然と泣く衣子を見つめていた。

なんで俺らは小さい頃からの付き合いなのに、こんな事すら気付けなかったのだろうか。近すぎて気付けなかったのか…


同級生が事故で亡くなった。俺らはそれに立ち会ってしまった。一生忘れることのない赤黒い記憶。


立ち直ったかのように、忘れたかのように生活していても、ふと思い出す。ずっと心に焼き付いてる。


そして泣く衣子を見て、俺の中で最低な思いが脳裏を走っていった。


『死んだのが衣子じゃなくて良かった』


車道側を歩いていたのが衣子じゃなくてホントに良かったと…


俺は死んだ同級生の亡霊に取り憑かれても仕方ない事を思ってしまった。でもこの考えは変える事はできないと思う。衣子を愛してしまっている以上…


ほんと俺って最低な人間なんだと実感する。


衣子が考えているような、衣子が憧れるような人間じゃない。不謹慎な事を私情で『良かった』と思ってしまうような人だ。

そんな俺でも人を愛してもいいのか。衣子を好きなままでもいいのか。


そんな事を考えていると、


衣子は急に俺に寄ってきて両手をゆっくりと俺の脇から這うように背中に手を回し、あぐらをかいていた俺の膝に少し乗り、頭を心臓部にトンっと寄りかかり体重を委ねてきた。そしてまた泣き始めた。


え、この状況はなんだ?酔っているのか?いつもの衣子じゃない。いつもの衣子なら真顔でキリッとしてて、隙がないのに、今は…

綺麗な黒髪。温泉のいい匂い。軽い体重。浴衣が乱れ綺麗な肩が顔を出し、まるで…誘っているかのように隙だらけだ…。だめだ。我慢しろ。今彼女は泣いているんだぞ。


…また少し衣子の手が動く。その度に心臓の動きが早くなって止められなくなる…


…ダメだ……


俺は衣子の両肩をぐいっと掴み突き放した。泣き顔のままで驚いた衣子に俺は

優しくキスをした。あの時みたいな抵抗が一切ない。唇を離すと衣子がまっすぐこっちを見つめていた。驚いているのだろう。…可愛い…。

俺はまた思わずキスをしていた。


10年…勘違いをし、すれ違っていた俺たちは、その10年を埋めるかのように無意識にキスを繰り返していた。


中間「こ、こほんっ…」


中間がわざとらしく咳払いをした。

俺たちは我に帰りすぐ離れた。

い、いつのまに…み、見られた…


中間「んとね、見るつもりはなかったのだけれど…。ノックしたし、わざと大きな音を立てて部屋に入ったし。でもあまりにもお二人さんが別の世界に行ってしまわれてたので。私はどうしたらいいかわからず。2人のを見つめてしまった。悪いとは思ってる。…そうか。森はそうやってキスをするんだな」


解説するな!!!恥ずかしすぎるだろ…!恥ずか死ぬ!!!

何が1番恥ずかしいって、見られた事よりも、その見た現場を出来るだけ傷つけないように割れ物に触るかのように言い訳をする中間の言葉が俺にとって1番恥ずかしい…。


森「す、すまなかったな…いや、これには理由が…!!」


中間「いやいや、説明とかいいから!あ、因みに、衣子ちゃんから、風呂上がりにキスされたとか、衣子ちゃんは実はずっと今まで森一筋だったとか。何一つ聞いてないからねー(棒)」


ぬぁにー!?

俺はバッと衣子を見た。その瞬間衣子はバッとそっぽを向いた。


中間「相談してくれたって感じで。私は嬉しかったわよ?まぁ、風呂上がりの無理矢理なキスは遺憾とするが。」


すすすすみませーーーーん!!!

魔がさしましたぁぁ!!!!!


俺は中間と次に衣子と順に全力で土下座をした。


中間「まっ。長湯してきた甲斐があったから良かったよ。…まさかここまで進展するとは思ってなかったけどさっ」


中間が堪えきれず吹き出して笑った。


その笑顔につられて俺と衣子も笑った。


中間「さて、本意では夜も一緒に過ごして欲しいけど、それは流石にあやつら(馬城・佐々木)に怪しまれるし、お付き合いは順序ってものがあるからね?わかったかしら?

口より手の方が早い自分に素直な森くん??」


中間が怖い笑顔で話しかけてきた。


森「は、はいぃ!中間様!!」


俺はなぜか土下座してしまった。


中間「よろしい。衣子ちゃん、森くんにこんな事されて怖くなかった???」


衣子は俯き加減で照れながら首を横に振った。

俺は心臓の音が止まらなかった。これは元気になってしまうな…やべーやべー。


中間に頭を引っ叩かれた。本気で。

いってー…


中間「嫌な事があったらいつでも、なんでも私に言ってね??なんでも聞くから!是非頼ってよね!」


衣子「ありがとうございます…。本当に助かります。で、また相談なのですが…

…直で肩を触られた時はドキドキが止まらなかったんですけど、これはどうゆう心境…」


バシーーン!!

森「いった!!!」


中間はラスボスみたいな顔で睨みを利かせてきた。


中間「順序があるっていったでしょうがバカ!!!」


ひいぃぃぃ!だから男の子特有の魔がさしたってヤツですってぇ!!


するとドアが開く音がした。


馬城「入るぞー。なんか鍵閉まっててさ。だから森もこっちいんのかなぁ…って…な、なんだこの空気といい、百合子のオーラといい…森…なんかあったのか?」


森「お、俺に聞くな!!!」


馬城「なんでだよ!!あとで俺が困るんだよ!!」


森「いや逆になんでだよ!!」


中間「そこ。煩い。」


馬城・森「はい。」


この空気のピリピリ感なんぞ感じない佐々木がやけに静かなだなと思ったら、女子の部屋を目を光らせながらジロジロ見ていた。世に言う変態ってやつだ。


とりあえずもう夜も遅いので男子群は静かに隣の部屋へ戻った。


そして布団に入った。旅館の布団って好きなんだよな。清潔感があるし。佐々木の即寝のいびきを除けば快適な夜だ。


俺は寝返りを打ち、ふと、衣子と2人っきりになったあの瞬間を思い出していた。衣子は昔っから可愛かったが。今日の衣子は尚一層美しく感じた。なぜだ。

両思いと気付いたから?

お酒に酔ってたから?

乱れた浴衣を見て魔がさしたから?

きっと全部なんだろう。今まで生きてきて色んな女性に会って、告白もされてきたが、一度も応えてあげられたことがない。いや、応えられなかったのだろう。当時は分からなかったが今ならわかる。


衣子の事がずっと、ずっと好きだったからだ。俺の中で衣子を超える女性は居なかったからなんだろう。


そんなことを永遠と走馬灯のように考えていたらいつのまにか俺は眠ってしまった。まるで奈落にでも落ちたかのように。


その日夢を見た。いつも通り衣子と楽しく話す夢だった。衣子はいつも通り真顔だったが、楽しそうだった。だから俺も楽しかった。


目が覚めたら夢の中で何を話して居たのかすら覚えていなかった。ただ、いい夢だったなということは覚えている。そんな事を考えながら寝ている2人を起こさないように朝の身支度をし、散らかっていた衣類などをバックに詰めた。


今日は松島の観光だ。




*To be continued…

第5話もありがとうございました!


奈落と両思いと気づいた森!

これからさらにドタバタな予感…


次回もよろしくお願いします!

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