表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/77

11.「コイツ、頭逝ったのかと思った」

ここまでしてほしいつもりで、名前を呼んだのではなかったのだけど…。夜鷹姫が気を利かせてくれたんだ、この好意に甘えよう。本当に、夜鷹姫ったら取っ付きやすい性格になっちゃって。あのプライドの高かった夜鷹姫も良かったけど、今の夜鷹姫も良い。






「真夜、逢いたかった!!」





その、悲痛な皇帝陛下の声に私の思考は呼び戻された。皇帝陛下は力が抜けたように、ズルズルとしゃがみ込んで、それでも私を離そうとしない。離さないと言わんばかりの力で、私を抱き締める。





「千景君、」





名前を呼ぶことしか、私にはできなかった。






千景君の目の前で死んでしまった私は、あの後、千景君がどうなったのか知らないからだ。千景君に大きな心の傷を与えたことを、私は転生してから気付いた。彼の、目の前で死んだ。その事実から、目を逸らすことが出来なくて。






千景君は強いけど、何処か脆かったから。





転生しても尚、それだけが『前世の私』の心残りだった。






「また、逢えて良かった」




「また、抱き締めることが出来た」




「また、お前の口から名を聞くことが出来た」




「――あぁ、俺はやっとお前を捕まえることが出来た」





弱々しい声から強さ溢れた男の声に変わる。真夜(ちや)と私の名前を呼ぶ千景君の背中を、ポンポンと宥めるように叩く。大丈夫、私は此処に居る。






私は、千景君の隣に居るよ。




「真夜、今はルーチェだったか?」





「そ、ルーチェ。エノクの古語で真の夜って意味があるの」





「なら意味に大差ないな。彩帝国の名は真夜で良いか?」




「…私、エノクだからか他国に一切興味なくて。教えてくれる?」





少しだけ千景君が私との間にスペースがを作った。そして、こつんと額を合せて、顔を近づけたまま会話を始める。





昔のように、2人で秘密の話をするように。





「彩帝国には名を与える風習がある。ただ、今は古びてその風習を覚えている者も少ないが、皇族の者に加わる時は、漢名を与えるようになっている。生まれた時に両親から貰った言葉の意味を踏まえて、第二の名を与えるんだ」




「へぇー……って、は?」





「お前を俺の皇妃として迎えたい」





「なぁに言ってんの、馬鹿?」




「無礼だぞ、真夜。曲がりなき皇帝に向かって」





「いや、いくら皇帝陛下でも私の前じゃ、ただの千景だからね?」





いきなり皇妃とかふざけてんのか、コイツ。他国で言えば、一応は貴族の部類には入るけれど、そんな皇妃に相応しい地位など持っていない。






それに、今、この現状でそれはないだろう。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ