十九話 すれ違い家族
カイト達が娯楽街に来る数時間前、エルデは夜抜け出していた。
規則違反は前提で、あることか気がかりであった。
それは兄ノルトで自分中心的に物事を動かす考え方があり、なんもないなんてありえないからだ。
僕は幼い頃から知ってる兄、それは確かに酷いものなんだ。
躊躇なく嘘ついて、僕に擦り付けて……喧嘩をよく引き起こして、拳で勝てないから後々物にたよって怪我を何度もした。
喧嘩や争いをそこから好まなくなって、なんも得しないし一方的にやられてしまう。
母はそれをよく見ていて"利用されるから仲をよくするな"って言われていた。
けど、兄妹仲良くしろって言われていたのもある。
僕はかなり複雑なんだ、友達にも言われるぐらい複雑な家庭なんだ。
だからといって全てが悪いわけじゃない、経験できないことを沢山やらせてくれた。
それでも、兄は母へ何をそんなに恨んでるのか分からない。確かに過去に兄は年上に虐められて狂ってしまったのは事実。だから、引きこもってた六年間……部屋から出てるなんてそうそうなくて日夜逆転していた。
そんな兄に、両親は責めたり叱ったりしない。
なぜ許されてるのか、疑問ばかりを僕は常々抱いていた。それがやがて、学園都市への入学するが中退。長年のだらけが通用する世界じゃない、わがままな言い分で先生を怒らせたこともある、
しかし、それでも理解しない。
父親はだんまり、母親だけ気を張り詰めている。
そんな私生活がなく続くほど、やがて兄は自分だけが偉くて頑張ってるんだってなり……両親を見下し始めていた。
妹は過去に兄と仲良かったが、成長するほど兄の間違いや感覚の違いに気づき始めて喧嘩。
それでも自分が悪くない、怒って来るほうが間違っているっと言い始めていた。
こうなれば、母の怒りや俺の説得や妹の理解してが全く通用しない化け物になっていた。
そんなバカ兄だからこそ、ボクが止めなきゃならないんだ。間違いを間違いで終わらせるなってよく母に幾度なく言われていた。
こうして夜抜け出して、兄はある一軒屋によく行くんだ。盗み聞きは悪いかもしれないけど……僕が何とかしなきゃならない。これが兄妹にしかできない責任なんだよ。
とある一軒家、窓辺付近で静かに耳を傾けた僕は、内部の会話を清聴する。
「お前何言ってるのか分かるのか?」
「そりゃもちろんです、君達がルミナス中立拠点に攻めて陥落すればもはや俺の復讐が完成するんだ」
「…復讐ねぇ? そんなくだらねぇ話を、持ちかけてくるなんてな。理由や動機……お前子供か?」
「子供じゃねぇし、証拠あんのか?」
「証拠? そんなもんに証拠必要かよ」
「ねぇなら言うな」
「古典的な言い分、それで挑発したつもりか?」
「挑発してねぇよ、勝手に解釈すんなバカ」
すると手を叩いて拍手をする人は「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ。私、この話はかなりかなりかなりかなりかなり……美味い!!! そうなれば沢山の、 望みや希望や、死に対する……恐怖!! ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ。想像しただけでヨダレが出ますねぇ」
この変態な感じはアイノフレシャス? なんでこんな場所にいるんだろう。
「愛の教団様よ、いくら子供じみたわがままに付き合う気になってんな?」
「おやおや、隣国の騎士団様がそんなことを申すとは!? 何たる、何たる何たる何たる何たる何たる!! 具の極み!! こんな美味しい話は貴方にもメリットしかないはず!!!」
「ふん、こんなやり方は気に入らないだけだ」
「俺の言い分を否定すんなよ騎士さん、最初から決まっていたから話を折るな」
「笑わせてやがる、けどな兄ちゃん。お前のわがままで死ぬやつがいる。死んだやつが悪いとか言い分が通用しねぇのを頭に入れとけ」
「もちろんだ」
「その時の場だけの話じゃねぇからな」
「くどいなおっさん、だから何時になってもその程度しか言えねぇんだ」
「怒らせるつもりだろうが、俺は呆れてるぜ? バカみてぇな話だからよ。まぁいい一枚噛んでやる」
そう言ってから騎士団の人が外に出てから「お前の兄ちゃん……クソワガママに喚く人外兵器みてぇな子供だな? 疲れるだろ」っと話しかけてくる。
僕は茂みから立ち上がり「そりゃそうですよ、親すらバカにして手に負えない兄です」っと言った。
騎士団の人は深いため息を吐いて、天高く見上げてから「戦果の灯火は取り返しがつかねえ。奴は愛の教団という強い後ろ盾で守られてる。そいつを止められるかとお前に問いたい」っと訊ねられた。
僕はしばらく考えて、答えはそれとなく決まっていた。
「兄が間違った道を行くなら止めるしかない」
「例え、肉親同士で闘うことになってもか?」
「はい、僕には僕なりに守らなきゃならない。兄が出来ないことが僕にしかできない。それが嫌と言っても消すことが出来ない家族……。兄は家族を否定してバカにする、僕はその正反対ですから」
「いいねぇ、お前の決意気に入ったぜ? それなら、話は早いな……。いいかよく聞け、奴らが本格的に動くなら翌朝。俺たち騎士団は遅らせる、その間に何とかしろ。出来なければ……わかるよな」
「わかってます」
「なら、さっさと去れ。お前がこのままいたら……喰われるぞ」
「わかりました、失礼します」
僕はその日の夜は、ルミナス中立拠点の付近にある宿屋に身を潜めた。
翌朝の早朝、僕は再び娯楽街へと向かった。
既にその頃には人々は閑散として、静けさが不気味と感じるほどだ。
向かう所は、娯楽街のスポットでもある噴水。
そこでよく喧嘩とかしたり、話をする時決まってそこだ。精神的苦痛ばかりを、未だに繰り返しす兄を……ここでケジメを付けなきゃならない。
「やっぱり来たか、エルデ」
「…まだそうやって平気で居られるんだね?」
「何かを知った所で、お前は俺を止められねぇ。エルデ、お前と俺は正反対なのは知ってるだろ? ならなんで、親の味方ばかりなるんだ」
「自分達を産んで育てたからだよ。形は違うかもしれないし、やり方としては正しいとは言えない」
「親の言いなりになって、自己犠牲してまで家族なんて思わねぇだろ? エルデお前は何時もそうだ、望まない結果をいつも引いてる。否定や相談なんて何時でも出来るのに、それすら躊躇する……。ならいっそバラバラな家族を終わらせた方が早いと思わねぇのかよ?」
兄は珍しく理論的な話し方だ、僕自身もそれは理解してわかってる。けど、やり方としては間違ってるんだよ。
「それに関しては否定しない」
「なら何故、俺の考えに耳を貸さない? 肯定しない?」
「間違ってるから。やり方として、それは僕の中での正義感かな? 許さない」
「ゴミみたいなこと言うなよ」
「ゴミでもいいんだ。言いたいことがあるならはっきり言えなんてさ……兄がそういってたけどさ。やっぱり無理だよそれは。 みんな内心には事情が付き物なんだ、考えもなくストレートで言ったからって自己完結で自己満足にしか過ぎない。 相手をよく考えないで言える人しかできない」
視線が交差する、睨み合い。
そこにアイノフレシャスが姿を表した。
「なんとまぁまぁまぁまぁまぁ……ご兄弟で何を話してたんでしょうねぇ?」
「くだらない話だ。なぁエルデ、お前も愛の教団に来いよ。ぶっ壊さないか?」
「悪いけどそれは出来ない。僕は兄さんを止める為にここに来た」
「止める? 時は既に遅い、アイノフレシャス例のを見せろ」
アイノフレシャスは指を鳴らした、目の前に現れたのは……父と母の姿だ。
「父さん?! 母さん!!?」
「呼んでも無駄、既に殺したからな」
「……兄さん、何そんなに不満があったか知らない! けど! これだけは違うだろ!!」
「これで名ばかりの家族を終わらせたんだ。感謝して欲しいぐらいだ」
俺は杖を取り出した、感情的になれば奴の思惑通りだ。だけど、だけど……! こればかりは見過ごせない許せない!!
「勝てるのか? 逃げ腰しさんよ、俺はもう教団側の人間なんだぜ」
「知るか! それがお前のやり方なら、その考えをぶっ壊すまでだ!!」
エルデは、杖を振り土魔法を飛ばした。
アイノフレシャスがニヤニヤしながら、その魔法を全身に受け止めた。
「いい! 気持ちいい、気持ちいい気持ちいい気持ちいい気持ちいい気持ち良すぎるッ!! これですよ! この失意に満ちた怒り……あぁ、甘くとろけるほど強い魔力ッ!!! これで私は、更なる力を……貴方の為だけに為だけに為だけに為だけに……披露しましょう!! 全てが愛の為に!!」
アイノフレシャスが、身体から放たれる無数の膨大な魔力で放たれた魔法が直撃した。
意識が遠のき、気が付いたら……僕は兄に踏み付けられていた。それと同時に、先生の声も聞き取れたんだ。




