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001

 こんにちは、雪華97です。

 新作始まりました!!少しでも面白いと思っていただけるよう頑張ります。

 二話同時公開となります。

 クラール魔帝国の夜は、真紅の月と眩いほどの活気に満ちている。

 太陽のないこの世界を彩るのは、魔力の結晶体の月と街灯や色とりどりのランタン。そして、提灯などの光だ。

 

 魔族たちはその光の下でお洒落を楽しんで温かな日常を謳歌している。

 

 別世界のどこかで誰かが絶望し、消え去ろうと、それは彼らにとって語るに値しないこと。

 広大な雪原に落ちた一粒の塵を、誰もいちいち気に留めないのと同じだ。


「今日の夜会、楽しみね」


「ええ、髪飾りを新調したの」

 

 賑やかな笑い声が、夜の光に溶けていく。

 その足元で何かが踏み潰され、音もなく消されていくとしても、彼らがその理由を問うことは永遠にないだろう。


 

◇◆◇


 

 月が鋭く輝く白銀色に変わる時、色とりどりに光っていた街灯やランタンなどは淡い水色に変化し、街全体が雪景色のように白く明るく照らされる。


 これを白銀の刻(しろがねのとき)と呼び、この光によって魔族たちは目を覚ますのだ。


 クラール魔帝国は、和・西洋・中華・ファンタジーと区画分けされていて、中心に黒と白の豪華な中世ファンタジーな王城がある。


 白く明るく照らされる様子は息を呑むほどに美しい。


 そんな美しい城には早くも悪魔や神の地位にいる者たちが集まる。


「アザルト〜人間界で捕まえたネズミあげるっ!」


 悪魔の一人である悪戯好きのファマンは、いつものように神の一人であるアザルトに悪戯を仕掛けていた。

 魔族に序列はあるが、公の場以外は基本自由に呼び合っている。

 この悪戯好きのファマンやアザルトがいい例だ。


「ネズミなんていらないんだけど!?」

 

 ファマンはネズミをアザルトに向けて放り投げる。

 そのネズミはアザルトの顔面にあとちょっとで直撃...というところで燃え、跡形もなくなった。


「あとちょっとだったのに」


 ファマンは悔しそうな声を出しながら満面の笑顔で笑っている。


「会うたびに仕掛けてくるんだから、もう慣れたよ」


「……じゃあ、これは?」


 突然、アザルトの頭上に水がたっぷりと入った球体が現れ、割れた。

 当然、アザルトは水を思いっきりかぶり、びしょ濡れになった。


「…………」


 アザルトが指を鳴らすと、濡れてしまった床やアザルト自身は綺麗に乾いている。

 アザルトはファマンに近寄って肩に両手を乗せると、どこか遠くを見つめて言った。


「ファマン、城を破壊したり汚したりすると大変なことになるよ。あれは大変だったなぁ....」


「あれ、って……あー、、前に西の塔をまるごと氷漬けにした挙げ句、びしょ濡れにしたときのこと?」


 ファマンはアザルトの手をすり抜けて宙に浮いた。


「そうだよ。あの時は本当に大変だった。魔力は封印されて使用を禁止されるし、どこぞの悪魔が悪戯していくから終わらなくて地獄だった。こっちはモップとバケツと雑巾で掃除してるのに。」


「僕にはなんのことかサッパリ」


 ファマンは宙で楽しそうに笑っている

 アザルトはそんなファマンを見て言った。

 

「ファマンだって、猫の姿で城の厨房からつまみ食いしてたのが見つかって、一ヶ月くらい農場で一から野菜育てたりしてたじゃん。」


「鴉がいるなんて聞いてなかったし。」


 二人がそんなやり取りをしていると、廊下の先からカツン、カツンと規則正しい靴の音が響いてきた。

 それは、心臓を直接撫でるような冷たい音。


 ファマンは、宙に浮いていた足を床につける。

 アザルトも、少し乱れた衣服を正し、表情を引き締めた。

  

 白銀の光で照らされた廊下の先から現れたのは、圧倒的な威圧感を放つ影だった。


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