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第15話 青年は過去を尋ねられる

「そういえば、晴近さんって他に隠してる事はないんですの?」


 現在、家でマッタリしている。

 他の皆も一緒だ。

 最近はガイも入り浸るようになってきた。

 そんななか突然、伊吹がそんな事を聞いてきた。


「隠し事って……なにかしてたっけ?」


「もう! 吉備津彦きびつひこ様の子孫だなんて初めて聞きましたわ!」


「でもそれさ、ご先祖様に『テイマー剣士』がいるって言わなかった?」


「それで正解を引き当てられる方がどうかしてますわ……」


手前味噌てまえみそになっちゃうけど、ご先祖様は剣術もテイム術も超一流だったからね。俺なんか遠く及ばないよ」


「晴近さんって、頑なにテイマーにこだわりますわよね……。十二座席ゾディアックより剣術にすぐれたテイマーって……」


「あ、それは俺も気になる。師匠の剣術というか……あの意味の分からない動きはなんだったんだ?」


 意味の分からない動き……?

 ああ、ガイと戦ったときのアレか。


「あれはすめらぎ流剣術の奥義の一つだね。【無拍子むびょうし】っていう」


「【無拍子】……?」


「ええと……一言でいえば予備動作がゼロの動きかな。『これから斬るぞ』って意念いねんも発しない。仮に斬りかかる速度が遅くても、対応できる人は少ないと思う。俺の場合、相手の意識の空白も狙うし。雫さんを二回目に斬ったのもコレ。大体の人は動くときに何らかのリズムか予兆を発してるんだよ」


「マジかよ……やっぱ師匠はハンパねえな……」


「ちなみに遥と戦った時にも使ってね。【フロッティ】を弾き飛ばして、【不動剣クリカラ】でチクッと」


「あの動き、そんな技だったんだ……。道理で全然反応できないと思った。固有技能とか以前に完封されたし……」


 遥の場合は雫さんの時と違って先の先を余裕で取れたからね。

 能力も大体分かってたし。

 雫さんの場合はなんか嫌な予感がしたから後の先を狙った。


「他は……相手との距離感を狂わす【縮地しゅくち】なんて歩法もあるけど、そっちは今度また説明するよ。秘剣なんかも今度ね。というか、みんな剣術剣術っていうけど、俺テイマーとしての方が格段に強いよ? 自分で言うのもなんだけど」


 それを聞いた遥は諦め顔だ。


「もう私はノーコメントだよ……」


 それだけ言った。


 そこで疑問を発したのがアリアである。


「あの、晴近様。私、最強っていつも言ってますけど、晴近様に勝てる気が全くしないんですが……」


「アリア、俺何回でも言うよ。最強はアリアだ、絶対にアリアしかいない」


「そ、そうですか? 私、最強ですか?」


「間違いなく最強だね、確信してる。それよりもアリアには聞きそびれてた事があったんだった」


「聞きそびれてたこと?」


「うん、天族って基本的に魔法特化でしょ? でも、三年前の授与式の時は剣で近接戦闘をしてたし……。なんでかなと思って」


「あ、それですか。実は魔族の人に無理矢理、身体強化魔法をかけられていたらしくって。天使族と身体強化って相性が悪いので、アレってかなり身体に負荷がかかってたんですよ」


 そうだったのか。

 再会して以来、近接戦闘を行ってないから不思議だと思っていた。


「天族ってあんまりバフを使うイメージないね、そういえば。あ、バフといえば」


「バフ? ああ、強化魔法ですね」


すめらぎ家にもバフ効果のあるマジックアイテムがあったんだけど、遥が壊しちゃって」


 その言葉に机に突っ伏していた遥は飛び起きた。


「アレただの罰ゲームでしょ!? 確かに身体強化の効果はえげつなかったけど!! なんなの!! あの『瑞穂みずほ一』とか書かれた『のぼり旗』!!」


「お伽噺にあやかって、数代前のご先祖様が作ったマジックアイテムだよ。言ったでしょ? 家宝でこそないものの、なかなか優秀だったんだよ?」


「効果は凄かったけど、死ぬほど恥ずかしかったんだよ? しばらくは近所の子どもから『瑞穂みずほ一のねーちゃん』って呼ばれるし……」


「まあ壊れた理由もアイテムの性能を制御できなくてやぶに突っ込んだ結果だしね。本人は柔らかい藪に突っ込んだのに、旗だけ見事に木に当てるし。あの時は面白──心配したもんだよ」


 遥って昔からそういう事が多い。

 こういうのを愛され系っていうのかもしれない。

 実際、雫さんと違い遥が突っかかってきても全く嫌いになれない。


「いま面白いって言おうとしたでしょ? なんでハルくんっていつも私をイジるの? もしかして私のこと好きなの?」


「遥が美人で愛され系なのは認める」


「!?」


 遥は目を見開いて驚いていた。

 さらに「うぅ、卑怯だよ」と呻いていた。

 好き嫌いはともかく、俺こういうのには素直なんだけど。

 なにせ神の子だし。


「晴近様晴近様、私は?」


 それに便乗してアリアも聞いてきた。


「メッチャ可愛い」


「ワタクシはどうですの?」


「伊吹も容姿に恵まれてるよね。遥とはまたベクトルが違うかな」


「師匠、俺はどうだ?」


「筋肉だね」


 なんで、みんなして俺の評価を聞きたがるんだろう。

 別にいいけども。


「そういえば剣術の話題ばかりでしたけど、晴近さんのテイマーとしての実力はどうなんですの?」


 ああ、伊吹とガイにはモンスターを見せていなかったか。


「うーん……そこは他と比べようがないからね。皇式テイム術ってちょっと変わってるし。あ、でも修行はちゃんと積んでるよ。アレは厳しかった。何度、死線を潜ったことか」


「し、死線!?」


「うん。俺のモンスターって、じゃじゃ馬も多いしね。ご先祖様の力を受け継ぐためには仕方がなかったんだよ。あ、じゃじゃ馬って言っても今は仲良しだけど」


「なんでそこまでして……。理由でもあるんですの?」


「あるよ。神様と約束をしたのと、絶対に守らないといけないものができちゃってね」


「は、はぁ。守りたいものですの。それより神様ってなんですの!?」


「授与式の時に神様の声が聞こえたんだよ。まあそれは俺の幻聴なんだけど。それよりもさっそくガイから貰った【天空米てんくうまい】を炊こうと思うんだけど……この話まだ続ける?」


「今すぐ!! 調理場に行きましょう!!」


 案の定、アリアが食いついてきた。


 お天道様と自然の恵みを存分に吸収した【天空米】は名前負けしておらず、俺たちは舌鼓したつづみを打ちつつ食したのだった。


 これ、毎食たべてアリアのクセになったら困るし、たまのご褒美にだけ出そう。



 ◯


 今回のリザルト


 テイムモンスター一覧


 ・エンペラースライム


 ・エンペラーゴブリン


 ・エンペラーファントム


 ・エンペラーヘルハウンド


 ・エンペラーフェニックス


 ・エンペラーガーゴイル


 ・エンペラーローカスト


 ・エンペラー冬虫夏草とうちゅうかそう


(省略)


 ・遥


 ・アリア


 ・伊吹


 ・がい



【輝剣クラウソラス】


 固有技能

 エネミーサーチ

 エネミーハント

 シングルアトラクション

 ライトシールド

 オートヒール(中)


 バッドステータス

 気炎探求きえんたんきゅう


 note

 光の聖剣。

 序列第二位の使う神威武装だけあって優秀。

 どちらかというと索敵や防御に特化している。

 とはいえ、正面の斬り合いに弱いわけではない。

 能力を発揮すると剣身が光る。

 バッドステータスの『気炎探求』は

 己の持つ可能性をどこまでも試したくなってしまう。



 注:ここに出てくる技はフィクションです。

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