報告
「君、ワーカホリックなんじゃないか?」
上司の言葉に青筋を浮かべつつジャンニは報告書を提出した。
「何々、隠蔽が通じなかったね」
ジャンニは攻撃魔法に関してはノーコンだがそれ以外の魔法については決して下手ではない。
「しかし、とんでもないものを見つけたもんだ。あちらは上を下にの大騒ぎになっているよ」
それだけジャンニの見つけてしまった生き物はとんでもなかった。
「他の動物の中に入り込んで操り隠れるか、その対象に人間も含まれるね」
ため息をつく。
「あの、あの辺りで行方不明になった人間はいるんですか」
「山中に狩りや山菜取りに行って帰ってこなかった人間はちらほらいるみたいだね。まあ、たまにあることと片付けられていたみたいだけど」
事故とあれに遭遇してしまった、どちらの数が多いだろうか。
「すでに観測チームが結成されているよ。万全の態勢であの山にこもっているそうだ」
「そうですか」
「後、あの山は立ち入り禁止になったよ近隣住民に反発はあったが、まあ、仕方ないよな」
人の命を脅かす生き物がいる可能性が高いのだ。安全が確認されるまでは我慢してもらうしかない。
「そうですか」
ジャンニはそう言ってため息をつく。
「それにしても、もうあんな休暇もどきの仕事はないよ」
そう言われてジャンニは膝をついた。
「それと、お前がもってきた標本だが、新種の可能性がある」
「まあ、あんな生き物今まで一度も聞いたこともないですからねえ」
「今、研究班もチームを組んでその標本を調査中だ。そっちの方に呼ばれる可能性があるから当分出張はなしで」
「まあ、いいですけど」
他の生き物の身体に入り込んでそれを着ぐるみのようにして生きていた生物、それは見つけにくいだろう。
「かなりやばい生態をしている可能性もある、実は標本から体液を撮ったんだがその中に猛毒があったそうだ」
「だからあの熊も死んだんですかね」
「熊を毒殺してその中に入り込んだとしたらかなり凶悪だな」
上司は腕組みをして考えこんだ。
「残念だが、あとに残してきた遺骸だが、ほかの動物に食い荒らされてそっちを調査することができなかったそうだ」
「慌ててたんで」
あの時は一刻も早くその場を離れたかった、現場を保存しておくなど考えられなかった。
「それを調べられれば、どういう感じに体に入っていたかも確かめられたんだが」
「なんか、脊椎のあたりから出てきた感じでしたが」
首を切り落としたあたりからなので、脊椎にいたのかもしかしたら食堂から出てきたのかもしれないが夜の闇の中のことだったのでそのあたりは判然としない。
「まあ、一生に歩かないかのことだよね」
幸い、野営の道具はほぼ戻ってきた。
私物もあったのでそれは幸いだった。そして、ベレッタの採集した茸は無くなっていたそうだ。
ちょっと落ち込んでいたが、食べられるまでの工程をベレッタがこなせるとは思っていなかったのでそう言うもんだろうと思った。




