第一話
第一話
「うえーい!!じゃあ乾杯!!!!」
「「「「乾杯!!!!」」」」
絶望的な経験を最後に高校を卒業し、それなりに名門の国立大学へと進学していた俺は、所属しているテニスサークルでの飲み会に参加していた。
こう言った飲み会は月に一回やることになっていて、このサークルが『飲みサー』と呼ばれる原因にもなっているところでもあった。
まぁそれでもそういった事を『わかってるヤツ』しか飲み会来ないから、ある意味男も女も『それ目的』だという風に判断も出来る。
それにこの飲み会は『絶対に強制しない』と言うのがルールになっている。
男であろうと女であろうと参加も不参加も自由。
ちなみに、参加したからと言って無理やり持ち帰るのもNG。飲み物に変な物を混ぜるなんて言語道断。
あくまでも合意の上で。
というのが建前だ。
どれだけガチガチにルールを決めてもルールを守らないやつはいる。
特に男なんか、酒が入れば無理やりにでもとするやつは少なくない。
……だから俺は『一回だけは助けてやる』ことにしている。
今回の飲み会は『新入生歓迎会』となっている。
俺は周りの参加者を見渡していると、初めて参加したであろう、新入生の女の子に目を止めた。
その子の名前は『柊 美園』
小売りを一手に引き受ける柊グループのご令嬢だ。
その子はまだ成人していないから酒は飲んでいなかった。しかし部屋の端っこの方で蹲っていた。
ぶっちゃけ。成人していなくても飲んでる奴が多い中で、しっかりと法律を守っているのは偉いと思った。
しかし、どうだろう。すごく辛そうにしているのが見て取れた。
「なぁ、大丈夫か?」
俺が彼女に近寄ってそう問いかけると、柊さんは真っ青な顔で俺を見つめてきた。
「き、気持ち悪いです……」
「飲んでなかったよな?もしかして匂いでやられたか?」
アルコールに弱い人は匂いでもやられてしまう。
と言うのを聞いたことがある。
流石にそこまでのことは、経験としてなかったが、きっとそれなのかもしれない。
「多分……そうかもしれません……」
「わかった。じゃあちょっと休めるところに行こうか」
俺はそう言うと、彼女を抱えて部屋の外へと向かう。
「悪いな。この子は俺が持ち帰るわ」
俺がそう言うと、女の子は少しだけ憐れみの視線を、男たちは下卑た笑みを浮かべながら言葉を返してきた。
「おーおーヤリチン野郎さまは手が早いですねー!!」
「今度は柊グループの令嬢かよ!!」
その他にもなかなか酷い言葉を男たちからは投げかけられた。
まあそれも予想通りと言えばそれまでか。
俺はそんな奴らに軽く笑みを浮かべながら言葉を返す。
「金は後で二人分俺が払うよ。とりあえずこの場は立て替えといてくれ」
俺はそう言うと柊さんを抱えて部屋を後にした。




