〜プロローグ〜
〜プロローグ〜
三年間を過ごした高校の卒業式が終わり、俺は自転車置き場へと歩いていた。
本当なら幼馴染で彼女の由愛と一緒にいる予定だったのだが、彼女から直接「先に行っていて欲しい」と言われていた。
何故だか嫌な予感がしたが、俺は特に理由を聞くことなく、その場では首を縦に張った。
そして、三年間を共に過ごした愛機の鍵に手をかけたときだった。
〜♪
ポケットの中に入れていたスマートフォンから、着信を知らせるメロディーが流れ始めた。
俺がスマホの画面を見ると、発信の相手は由愛だった。そしてどうやらそれはビデオ通話のようだった。
「何だ?ビデオ通話なんて珍しいな」
夜中に寂しいからビデオ通話で寝落ちするまで話したい。
なんてことは昔にはあったけど、今はそんなことは滅多にない話だった。
俺は少しだけ訝しみながら応答すると、そこには信じられないような光景が映し出された。
「……何だよ……これ……」
画面に映し出されていたのは俺の恋人の由愛が汚いおっさんと性行為をしているシーンだった。
こちらの様子が見えているのだろう。俺と視線の合ったおっさんは下卑た笑みを浮かべていた。
NTR系エロ漫画のような展開が、まさか自分に降り掛かって来るとは思いもよらなかった。
俺が絶望した表情を浮かべていると、画面越しに由愛が俺に言ってきた。
『ごめんね。怜司くんのじゃ全然満足出来ないの。アレより大きくて立派だから』
昨日初めて彼女を抱いた時、何だか物足りなさそうな表情をしていたのは感じていた。
でも、まさか比べられていたなんて。
『私はもう彼のじゃなきゃ満足出来ないの。ごめんね』
『そういう事だから。怜司くん。彼女はもう私のモノだからね』
そう言われた俺は、悔しい気持ちを噛み締めながら言った。
「そうかよ。じゃあもう好きにしろよ……そんな女……要らねぇよ」
俺は通話を終了させると、地面を蹴り飛ばした。
「くそ!!くそ!!くそおおおおお!!!!」
悔しかった。あんな汚いおっさんに、ちんこの大きさだけで負けたことに。
確かに自分のサイズを測ったことはある。
普通より少しばかり小さいことはコンプレックスでもあった。
でもまさかこんな形でそれが襲いかかって来るとは思いもしなかった。
「絶対に……後悔させてやる……」
たかだかちんこのサイズで俺を捨てたことを、あんな汚いおっさんに靡いたことを。
別に由愛の家族にそんなことを告げ口するつもりはない。
正々堂々と俺が幸せになることで、あいつを後悔させてやる。
俺はそう心に決めて、高校を後にした。




