第二十一話 持ち寄る情報・前編
「ゆっきー」
「シンさん!」
「すみません東雲さんとは出会えず……」
「いや、想定してたから心配すんな。とにかく情報整理すっぞ」
「……ん?青藍さんあんた何持ってるんすか?」
「これ?鍵」
「鍵ぃ?」
レンリさんに言われて俺とアランさんも青藍さんの手元へ視線を向ける。……確かに、何かは分からないが小さなものを握っているな。わざわざ放棄エリアに行って鍵を拾ってきた……ということなんだろうか、どこの鍵を、何のために?
「一旦情報整理!まず東雲が行方不明……恐らくヘブンに行って?宇月が意識不明、ここは確定で良いな?」
「ええ。志葉さんがヘブンの支部に怪異以外の気配があることを確認済みです」
「んで、宇月が意識不明になった理由は個人単位の執着なんだっけ?」
「恐らくは。追加で情報出しとくと宇月職員の周囲でヘブンに関連する異変は発生しません。なので東雲職員がヘブンに連れて行かれたことと、最近起こってる夏音周囲の異変は別物……因果関係はあっても、主犯は別」
宇月の周囲では、ヘブンに関連する異変が発生しない。……そういえばテオも言っていたな。テオは詳しいことは分からない、と言っていたけどレンリさんはその理由が宇月にあるところまで知っていたのか。……個人的な執着とはなんだろう。
「待って?その個人単位の執着って何?」
「いや俺に聞かれても…………ヘブンに宇月によく似た誰かがいたか、関係者に血縁者でもいたんでは?」
「そんなそっくりさんレベルで執着とかする?」
「実際されてるっぽいすからねぇ」
宇月が何故執着されているのかは分からずとも、事実として宇月はヘブン関連の異変に対して優位に出れたということか。いまいち青藍さんとシンさんは納得していないようだったが、アランさんがリアムさんへ声を掛けたので話題は切り上げられる。
「リアムから見て……どうだった?」
「俺も、音しか聞いていなかったんだが……東雲が自らの意思でヘブンに向かったわけではなさそうだった。少なくとも、東雲は宇月に本心を開示しようとしていたと思う」
「成程……気配も感じていないということは、特性によるものか――――変異した怪異辺りが原因か」
「怪異以外の可能性もあるよ。少なくともヘブンには怪異以外の気配が二つはあるはずだし。ひとつは東雲だとして、もう一つは多分怪異でも人間でもないなにか」
「幽霊ってこと?」
「いやぁ……多分あれは違うと思う。本人も分かんないんだって」
「ちゃんと会話してるんだったら幽霊じゃないでしょうね」
幽霊でも、怪異でも人間でもない存在って何だ。幻獣種や天使……などでもないんだろうとは思っているが。そもそも放棄エリアにどうやって潜り込んだんだ……?
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