仮面の行方。
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「ふぁ~~ぁ…」
…すんごい欠伸が出た。
「よぉ和馬、寝不足か?」
…翌朝、遅刻ギリギリで校舎に入ると、体操着のトラと鉢合った。
「…ちょっとね。」
…と言いながらも、寝不足は図星。
昨日、夜通し仮面で遊んでしまった訳なんだが、そんな事アホ過ぎて言えない…。
「…1時間目は体育だぞ~。」
「…へ?」
…教室に行こうとした俺にトラが言った。
…回れ右して更衣室に向かう。
「…うわぁ…ヒデェ顔。」
…鏡に写った自分の顔が、青白くて覇気が無い。
…おまけにクマまで…。
…更衣室…
…此処か…………。
…あれ…………?
…目が…………回る……………………
「……りはら…ん……?」
…誰か…いる…。
…この声…………誰だ……?
「……………………?」
…そこは保健室だった。
…俺、寝てたんだ。
…時間は…午前の授業が終わりそう…。
…寝不足で倒れるなんて…カッコ悪いな…。
「よぉ、ねぼすけ‼︎イイ夢見たかい?」
「カズ、大丈夫?」
…トラと雫が入って来た。
…倒れた原因は口が裂けても言えない。
「あぁ、もう平気。」
…俺はベッドから起き上がった。
「…腹減った…。」
…散々寝てコレかい。
「もう大丈夫そうだね♪」
「よっしゃ食堂行こうぜ☆」
…3人は保健室を出た。
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…午後の授業は普通に受けた。
…そして放課後…。
「…ん?…ノート……。」
机の中に見覚えのないノートが入ってた。
…名前は書いていない。
…中を見た。
…これは恐らく今日の授業内容。
…凄く綺麗な字で、分かりやすく書かれていた。
…一体誰が入れたのか…
…更に奇妙な事があった。
「…………あれ?…おっかしいなぁ……。」
…思わず声が出た。
「…和馬、どした?」
…声を聞いてトラが反応した。
「……あ……いや、何でもない。」
…適当にはぐらかした。
「……今日は変だぞ……?」
…この反応を見る限り、誤魔化しきれてないんだけどね。
…今朝、鞄に入れたのに…
…消えてしまったんだ。
…仮面。
「…お〜い和馬、…大丈夫か?」
…トラの呼びかけにも、しばらく無反応だったみたい。
「…………あ…うん。」
「…こりゃ相当お疲れだ。」
「あ、トラ…これ、誰のか知らないか?」
トラにノートを見せた。
「…うっわ〜綺麗な字……こりゃ女子だな☆」
「…女子なの?」
「お前が保健室で休んでたとなりゃ、『折原クンの為にノート書いておきました〜☆』っていう健気な女子がいてもおかしくないだろっ‼︎」
…おかしくないのか?
「…それじゃあ、このノート貰ってもいいのか?」
「いいんだよ!羨ましい〜〜‼︎」
…トラの意見もあり、ノートを鞄に入れた。
「じゃあ帰りますか‼︎」
「おう。」
…もし持ち主が判明して、その人が必要であれば、このノートは返すつもりだけど。
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「じゃあ。」
「しっかり休めよ〜!」
…電車を降りて、トラと別れた。
…その足で駐輪場に向かおうとした時…
「…あれは…」
…駅前の書店から出て来た…。
…社 蝶子。
「同じ駅だったのか。」
…いや、そんな事より…
…いつも放課後の勉強会や部活をやってるアイツが、こんな早い時間に街にいる事が珍しかった。
「……はぁ……」
…普通に溜め息とかつくんだ…。
…その時、俺は見た。
…彼女は鞄の中から取り出した。
「…その仮面っ‼︎‼︎」
思わず声が出た。
「折原さん⁈」
…彼女はびっくりして仮面を落とした。
「…それ、俺が失くした物なんだ。」
俺は仮面を拾おうとした。
「触らないで下さい!」
「…え?」
…この人と関わると、すんなり行かないんだよな。
「あの…それ…俺のなんだ。…返してくれない…かな…?」
「嫌です。」
…即答された。
「……何で⁇」
少しの沈黙の後、尋ねた。
「…これは…私の私物です。」
「いや、最初に持っていたのは俺だ。…もしかして…盗んだ?」
「いいえ。女子更衣室に落ちていました。」
「…女子更衣室?」
…おいおい…俺が今朝倒れたのって、女子更衣室の中だったのか⁈
「…変態。」
…社はそう言い残して去って行った。
…仮面を持って。
…うわ…何か色々と誤解されてます。
…仮面を取り返したかったんだけど…
…追いかけると、余計こじれそうで…行けなかった。
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