1.失敗した日
「どんくさい。家がお金ないの知ってんでしょ?しかも、あそこバイト禁止じゃない」
公立に落ち、私立の女子校に行かねばならなくなった私に、国立大に通うお姉ちゃんからトドメの言葉が刺さる。
『大丈夫。なんとかするし。近場だし制服、可愛くていいじゃない』
お母さんの優しさも辛い。
「受験日に風邪こじらすなんて最悪」
気をつけていたのに。フラフラでテストを受けた結果が、これだ。
お姉ちゃんの言葉に鞄と上着を掴んで家を飛び出して、結局行く当てもない。
「あっ、ごめんなさい!」
まだ寒さが残る中、カフェでテイクアウトしたキャラメルラテを片手に歩道橋を歩いていたら、お姉さんにぶつかってしまい。
「いえ…え?」
大丈夫ですと口にしようとした瞬間、よろめいた。
そう、ただよろめいただけ。
なのに、足を着けた瞬間。
「※☓※ー!」
「※!」
真っ昼間だった筈の色は夕方で。目の前には、甲冑みたいな物を身に着けた人と見慣れない服の人が戦っていた。
むせ返るような土の香りと鉄…血の匂い。
「※!」
「あっ」
甲冑みたいな物を付けていない人が私に気付き、目が合った瞬間、嫌な笑いをしながら走り出した。
その男の人は、聞き取れない言葉で私に向かって手を伸ばし、剣を振り上げてきた。
──あれ、死ぬのかな?…それでも、いいのかも。
『家は、片親なんだからウチラがしっかりしないと駄目なんだよ!』
お姉ちゃんの言葉は、正しい。
私は、どんくさくて、いざという時に、いっつも失敗してばかりで。
ギィン゙ー
立ち上がる気も失った私は、一気にやってくれと目を閉じたら、金属の響く音がして目を開ければ。
「※※※!」
甲冑の人に、怒鳴られ腕を掴まれて。その人は、私を片手だけで立ち上がらせた。
「※?!」
何かを言われたけど、言葉が分からない。ただ、凄い真剣なのは隙間から見える緑色の目と口調で伝わる。
あ、後に敵の人が矢を構えてる。
「離れて下さい!」
掴まれた腕が少し緩んでいたから、甲冑の人を両手で思いっきり突き飛ばせば、ほんの少しだけよろめいて隙間が出来たらしく矢は外れて。
「……痛い」
衝撃、その後に痛みが。何処が痛いのか辿れば右腕に刺さっている。見ちゃうと痛みが増してきて。
「どうせなら、一気にやっつけてよ…」
恨み言を呟いたら、目の前が急に真っ暗になった。




