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しあわせの国  作者: 狼眼


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515/515

なおるのかねぇ

「だから・・私の話をきけぇ!!!」


ロア師匠が、絶叫と同時に繰り出した拳を、俺の脳天に突き立てた。


「ごぁ!・・・ってて・・。相変わらず、半端ない威力ですね・・・。」

「相変わらずって・・・。私の事、知っているのね?」

「だから、さっきから師匠って言ってるでしょ?私の剣の師匠なんですよ。」


ロア師匠は、自分の両手を眺めながら、俺の言葉をかみしめている・・・。


「私が・・・。剣の師匠・・・。だから・・・。」


何か思い当たる節があるらしい。


「・・・それはそうと・・おかみさん達は、何処へ行ったのだろう?・・・巨人の手に触れたら。どこかへ行ってしまったんだ!剣や服は残っているのに!」

「・・体だけが消えたって事ですか?」

「そうなるわね。おかみさんもメリルも、ドンドコさんも・・。みんな消えてしまった・・・。」


消えた?消えたとはどういう事だろうか。


「飛ばされたとか、粉々になったとか?」

「違うのよ!何も残さず・・・いえ、違うわね。全てを残して消えてしまったの!」

「神の御業をお借りしても、人だけを消すなんて・・・。そもそも人は消えませんものね・・。」

「リンクルの術を使えば移動は出来るが・・・。瞬間的に装備品以外を移動させることは出来ない。」


この巨人・・だったものの特殊能力か?

そう言えば、アルヴァリオンが攻撃を受けた時に、消えるだとかなんだとか言っていたが、そういう事だったのか。

アルヴァリオンは武器や防具の類だから消えないのだろうが・・。


「それも、この人?が意識を取り戻せば・・・分かるかもしれないですがね・・。」

「これで・・5回目のマインドヒールですが・・・。どうでしょうかね・・・。」


マリーさんが巨人だった人?に対してヒールとマインドヒールを交互に使用している。が、あの通りすがりの神官ほど劇的な変化は与えられてはいないようだ。


しかし・・・。


「こいつ・・・どこかで見た事ある・・・様な・・・。」

「あら?アルバートさんは、この人?を見たことが有るんですの?・・・顔・・まだぐちゃぐちゃですわよ?」

「あぁ、なんか雰囲気が・・どこかで・・・。」

「・・この人間も、ものすごい血の臭いがするにゃ・・・。」


ミミは顔を背けながら呟く・・・。

まぁ、この村が崩壊しているのも、こいつが原因だろうからな・・・。


「あ!・・・動きましたわ!!」

「なに!」


動いた・・と言うより、呼吸が強くなってきたと言った方が良いだろうか・・・。


「もう少し・・かも知れませんわね。」


マリーさんは額に汗をにじませながら6度目のヒールをかけていく・・・。

・・・知らない内にマリーさんの横には・・・。お神酒?の瓶が転がっている・・・。

大丈夫か?こいつ・・・。


「ね、それと、私もその、マインドヒールで・・・思い出せるかしら!・・・私の事、皆の事・・・。」

「・・・どうでしょうかね?・・それこそ、神のみぞ知る・・・ってとこですわ。」

「それでも!それでも、私もお願いできるかしら?」

「もう少し待ってくださいね・・・。」


・・・お!こいつ・・腕が動いた!

・・・右腕が、肩口から無くなってしまっているが、命があっての人生だ。どんな人物かは分からないが、強く生きてほしいものだ。

こんな山奥の村に居るって事は、林業か農業・・鉱山かもしれないが・・・。どの職業であっても片腕では厳しいが・・・厳しいな。無理か。


・・・この者に、精霊の加護が有らんことを・・・。



無理か?

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