次はお前だ~!
リンの解呪は意外とあっさりと終わった。おそらく魔法抵抗力が元々強かったこともあり、効果が薄かったのかもしれない。
「じゃ、次は君かな?アルバート君!」
「ビ、ビルットでもいいぞ?」
「へっ、俺?え、いや、だって。」
「はいはい、ビビってないで、ビルット君!いくよ~!!闇の魔力の理を今解放せん・ディスペルマジック!」
「がぁ~~~。」
ビルットは一気に立ち上がり、そのまま床に倒れこんだ。
「っとと、かなり深いとこまで侵されてるね~。痛たそぉ~。」
コーギが心配そうに見ている。「大丈夫?」と小声で囁くも、ビルットには届いていないようだ。
「これはダメだね。上でやろうか。」
「上?」
「宿屋の一室を借りよう。」
そう言うとルーナは片手をあげてフリフリする。店員が気づいてこっちに向かってくるが、手の合図で察したようだ。店員も、一番奥の部屋を使ってくれ、とジェスチャーで返してきた。
「よし、ビルット君を連れて行ってあげてよ。」
と言いながら、店員に追加のエールをジェスチャーで注文している。
店員からエールを受け取ると、そのまま階段を上がり、一番奥の部屋へ入っていった。
「サンタス、左側を持ってくれ。ギニンは足な。」
「命令すんな!」
そう言いながらも素直に手伝ってくれる。正直、俺もサンタスも、ビルットの様子を見て恐怖を覚えている。どうなんだ、痛いのか?苦しいのか?
俺の心臓は、早鐘の様に激しい音を立てている。
「どぉしたの?行こうよ。」
リンが不思議そうに話しかけてくる。解呪が怖いなんて、言えない・・・。
「い、いくぞ。」
サンタスが切り出してくれたおかげで、足を前に出すことが出来た。
軋む階段を上り、奥の部屋へとやってきた。ビルットをベッドに寝かせると、今後の事を考えた。
おそらく、解呪は早めにした方がいいだろう。遅くなれば国の監視下に置かれ、チャンスがなくなりそうだ。かといって、街道沿いの道で待機を命じられた俺たちが街中で徘徊しているのも不自然だ。
「なぁ、ルーナ、今後の事だけど、早めに軍に報告を入れた方が無難だとは思うんだが・・。何か良い案はないか?」
「そうね・・・。リンちゃんにお願いしたら?一番ダメージ少ないし。街道で遭遇戦があって、けがをした人を介抱してるって伝えておけば良いんじゃない?」
「リン、頼めるか?」
「いいよ、じゃあ、私は報告の後に実家の様子を見に行く事にしておくね。」
「あぁ、頼んだ。」
「ん、頼まれた!」
「あ、急がなくていいから、時間稼ぎだからね。」
「わかりました。」
そう言うと、リンは部屋から出ていった。
しかし、ビルットは目を覚まさないな。コーギが心配しているから、早く目を覚まさせようか・・・。
ビルットを揺り動かそうとした時、俺はそのままベッドに転がされた。
「はい、次は君ね~。時間がないよ~。」
「いや、ちがう。まだ、心の準備が!」
「ほい、ディスペルマジック!」
「・・・。」
俺は、一瞬の激痛に抵抗できず、言葉にならない叫びを発した後に意識を手放した・・・。




