結果報告と真剣な眼差し
「アルバート!お前が荷物は少なくて良いって言ったから!着替えを入れそこなったじゃないか~!」
なぜか俺に切れているサンタスに、笑いをこらえながらまじめに答える。
「いや、確かに俺は最小限が良いとは言ったが、3日程度の野外演習で着替えなんか普通持ってこないだろ?パンツならあるいは持ってくるかもしれないけど・・・。持ってきてたのか?」
「ねぇよ。」
「で、俺の剣に巻き付けてあった布を巻いていると。」
「いいじゃねぇか!布くらい!俺は自前の武器だから、貰えなかったんだよ!!」
「まぁ、お前をスライムから救うために、俺の剣は曲がって使い物にならなくなったからな~。」
「わ!・・・るかった・・・よ。」
サンタスが落ち着いた所で、みんなに提案する。
「一旦、おっさんの所に戻ろう。獲物と討伐の報告をしないと・・・。
ギニン!スライムの跡は焼けたか?」
サンタスを煽りすぎた為か、ギニンはこちらを睨みながら焚火を消している。
一応、2人の命を救ったんだけどな~。まぁ、焚火を消しているって事はしっかり焼けたのだろう。
「さて、そろそろ行こうか。サンタス!これを腰に巻いとけよ。」
現状ではどこかの部族のように一枚の布をつかって腰巻にしているため、俺の革製の上着をサンタスに渡しておいた。女性が2人からすると目のやり場に困るだろう。
「お、おう。借りといてやるぜ!」
俺たちに背を向けながら、俺の上着を腰に巻き付けている。
これ以上サンタスを弄ってもきりがないので、まじめにおっさんの所に戻るとしよう。
スライムは、燃やした。蛇は、埋めた。兎は、リンが抱えている。
これ、絶対に情が移るやつだ・・・。
無駄な殺生をしないために、設置した罠はすべて解除しておいた。魔獣化しても嫌だからね。
一応、周囲を警戒しながらもおっさんの所まで戻ってきた。
「おつかれ~。どうだったかなぁ?」
「黒いスライムがいたよ。あとは、あの兎だけだ。」
「ちゃんと、対処はできたかい?」
「とりあえず、けが人なし。スライムは焼却処分した。」
「ん。お疲れさん。みんな、大変だったねぇ。肉を焼くから、こっちに座りな~。」
おっさんがいつの間にか用意していた肉串を焼き始める。
「おっさん、肉、持ってきてたのか?」
「あぁ、さっき狩った獲物だよ~。新鮮だよ~。」
各々が焚火を囲んで肉串を焼いていく。
焼いている時間で、さっきのスライムの出来事を何とはなしに報告をしていった。
「で、サンタス君がこうなった、と。」
おっさんが楽しそうに話を聞いている。サンタスも話を盛りながら、自分から話をそらそうとする。コーギは容赦なく事実を伝え、ギニンに睨まれていた。
「しかし、今回はギニンのおかげでいい経験ができたな。あと、あんなにしゃべったギニンは初めて見たよ。」
ビルットが話をまとめていく。
話を聞きながら、おっさんが評価をしていく。
「そうだね~。まず、サンタス君はもう少し冷静に物事に対処しようか。
アルバート君は、遅れながらもスライムによく対処できたね~。
コーギちゃんは、よく動けたと思うけど、突発的な変化への対応がもう少しだねぇ。
リンクルちゃんは、全体を見ての指示はよかったと思うよ~。
ビルット君は、バランスを崩した時の復活は早かったけど、次に期待かな~。
で、ギニン君、体格に合わせた対処方法を考えようね~。でも、あの罠の知識はよかったよ。」
「うす!」
「どうも。」
「わかった。」
「はーい。」
「あぁ。」
「・・・。」
それぞれの評価にそれぞれの反応を返した。
しかし、気づいている者もいたが、このおっさん。
伝えてない事も知ってる。見てきたような表現、的確な指摘。
おそらく、本当に危なくなった時には助けに入ったのだろう。
更に獲物を確保し、さばき終えている。
これが、経験の差というやつなんだろうな・・・。




