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しあわせの国  作者: 狼眼


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大根役者

「デック様、すみません、ご足労をおかけしてしまい・・・。」

「あぁ、ええんや!気にせんといてぇ。デュアルからはたんまり貰っとるさかい。」

「デック殿、よろしくお願いします。」

「任せといてや。」


メグ姉妹がやたらと低姿勢で対応しているのは、神官であり斥候でもあるデックさんだ。

昔、男爵様と一緒に冒険者をしていたという事だが、神官と斥候の組み合わせの質の悪い事・・。

治療や布教活動をしながら、敵の情報を根こそぎ奪っていく。事前に分かっていても躱せるものではない。

そして、ハンナ様以上に、金にきたな・・・・細かいらしい。


「ほな、やろか。 偉大なる神の御業により、この者達に癒しの奇跡を・・・。パーフェクトヒール。」


デックさんが神に奇跡を祈ると、俺たちの周りが暖かい、柔らかな空気に包まれた。


「ふぅ、助かった~。ディグ、アンナ、ルーナ、大丈夫か?」

「今、平気になった。」

「私は大丈夫よ?」

「し、死ぬかと思ったわ・・・。」

「いや~、どなたか存じませんが、本当にあり・・が・・・とう。お・・お金は無いですよ!」

「なんや、ヴァール君、人を守銭奴みたいに言わんとってや。」

「いえ、そんなつもりは・・。すみません。」

「まぁ、ええか。ほら、ロアちゃんが呼んでんで。」

「!・・は、はい!何か?」

「ほら、直っただろ?攻撃をしてくるんだ。あまりに一方的では援軍もなく、撤退になってしまうぞ?」

「・・・ロアさん、魔術でも平気ですよね?」

「あ?当たり前だろ?リアとやり合っても無傷だよ!とにかく攻撃を仕掛けてこい。」

「い、行きますよ?ちゃんと防いでくださいね?」

「ダイジョーブだよ。防がないから。」

「?行きますよ?・・・我が魔力より生れし、不滅の炎よ、敵を貫く一筋の光となれ!・・・・ファイアアロー!」


ルーナの放った炎の矢は、10本の矢となり、ロアに降り注いだ。だが、当たると思えた矢は空中で霧散し、外れた矢は地面に突き刺さった。


「あっれ~?」

「・・・おまえ、こんな炎のやじゃ、城から見えないだろ?もっと、こう、バーンとドドーンと、大規模なやつは無いのか?高威力!広範囲!一撃必殺!な。」

「・・・分かりました。次こそ本気で行きます。・・・アンナ、上空のあの辺りに向けて、ストーンブラストで石を飛ばすのよ!」

「え、あ、うん。・・・行くよ?・・・大地の精霊よ、汝の力を示し、大地の怒りをかの者にあたえん!ストーンブラスト!!」

「・・我に集いし魔力もて、炎で大地を焼き払え!・・バーストフレア!!」


アンナの精霊魔法とルーナの炎の魔術が空中でぶつかり合い、細かい石を空中で溶かし、溶岩の雨を降らせた。更に空中で弾けさせる事で、広範囲へ向けて、殺傷能力の高い範囲攻撃を行う事に成功した。


「いいねぇ。これだけ出来れば、王国も動くんじゃないか?」

「そうね、多分、もう、動いてると思うわ?私の魔術をみて、危険を感じたはずですもの。」

「そりゃそうか。・・・おい、お前ら!剣士系の奴らは、私の所に切りかかってこい!」


「どうした?」

「・・・だって、ロアさん、怖いですよ。」

「何言ってんだ!こっちは手を出さない!お前たちは声を出し、動き回り、剣を振り下ろしてこい。」

「・・・やるか!」「・・・やるぞ!!」「手合わせお願いします!」「日ごろのうっ憤を晴らす!」

「いいぞぉ!・・・ほれ!ほれほれ!!」


30名ほどの人間が、一人の女性戦士を囲い込み、剣を片手に攻撃を仕掛ける。軽い地響きがして、大勢の声が響き渡る。


「よし!続けろ!どんどん来るんだ!手加減はするなよ!」

「「「応!」」」

「ほら~、がんばれぇ。」

「「「応!」」」


メグ・ロアは、剣と手甲を使って、軽々と攻撃をいなしていく。


「ほらぁ!もっと声を出せ!地面を鳴らせ!!」


王国から仕掛けた(はずの)闘いは、洞窟の前で足止めされ、(敵であるはずの)メグ姉妹から指導を受けて行われる演劇の様だった。

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