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少年ハークとわるいこ研究所  作者: きむら
ExⅦ:【ERROR】
82/318

【???】

――わるいこ


動物の様相を持った人間。


古来より大陸の伝説にある神と

それに仕えた従者たち。

その従者こそ、現在のわるいことして発現。


その第一症例さきがけとなったエド。

モルト家の次期当主。


あまりに痛々しく

あまりに禍々しく

あまりに幸運な子。



* * * * *



私の名はヴェルレグス。

モルト家の当主である。


私は本家の人間として、彼を招き入れた。

もちろん母親と一緒に。


モルト家は代々大陸北部を統治する。

しかし彼は当主としての力などなかった。


あるのは、当時の言葉で

言うなら【異形】であること。


私は彼の僅かで

多大な恩恵を引き出そうと考えた。


しかし彼は拒否した。

子供らしい理由で、あまりにうるさかった。


わるいことやらの影響からか

動物の鳴き声も混じるため

耳障りで仕方ない。


クジラ。彼の声は人の声であり

またクジラの声でもあるという。


ひとつの言葉に二重の声。

私の耳と脳を揺らしてくる。

しかもあまりに本能的な意思。

だからこそ、手に負えず

私は頭を抱えた。



* * * * *



ある時私はカッとなり

彼の喉を潰した。

この手で潰れる感覚と音はあった。


苦しさからもだえ苦しむ彼。

しかし物の数秒もすれば

たちまち彼の呼吸は復活した。

すぐ喉は元に戻った。


喉を押さえながらも

ひゅうひゅうと口から放つ声は

言葉ではない。ただの空気の動きとなった。



彼は話すことが出来なくなった。

どうやら体の再生機能は人よりも上。


しかし一度失ったものは戻らない。


声帯。


私は彼のそれを

握りつぶしたため、声を失う。


しかしその周りの喉である部分が

喉として再生した、という理屈だろう



あまりに拙い。あまりに弱々しい。

私にはこの命が、いやこの生物が

生きている事に、ただ蔑むものでしかない。


しかし私は彼を生かすことを選んだ。

それは彼が生きるおかげで

目に見えて領地が、領民が活発になった。



* * * * *



北部はあまり肥沃ではない。

土地柄もあるのか、病気も多い。

医者は居るものの、治療が追いつかない。

呪われた土地と内外問わず言われた。


モルト家はこの土地に根を下ろし

復興を復活を夢見て、代々手を尽くした

と記録される。


しかし結局は夢である。


どれだけ当時の

技術・祈り・発明あろうと

北部は変わらなかった。

今の今まで、自然には屈せざるを得なかった。



だが、エドが発現してから変わった。

土地から取れる農作物が、徐々に質も量も上がった。

病気も重いものは介抱に向かい、かかる病は少なくなった。


クジラ。


伝説によれば神に従いつつ

人々を慈しみ、病を治す力を持った巨人という。


神が死に伏した時、その巨体から

神を大事に背負う役目を負う。


それに追随する従者たちを

同じく背負い、天の国へと向かった。


今となっては、治癒の力は

無意識に使われ、人々を背負う役目は

その効果範囲を広げるという意に

天の国=復興・繁栄へと繋がった

と私は結論づけた。



――エドを生かすことが

この大陸北部を建て直すにうってつけだ。


未来永劫、彼はたとえ当主と

ならずとも、生きてさえいればこの北部は安泰だ。


ならどうする。簡単だ。

神を背負う【方舟はこぶね】として整えれば良い。


乗客には信仰という

補修材を収めさせればいい。


あの荒唐無稽な宗教に絡ませれば良い。

教祖となる女に押し付ければ

我々の利害は一致する。


私の今後の方針は決まった。


次はエドを従わせる

人物を用意しなければならない。



そう思った時、石組の塔に人影ひとつ。

私は直感した。ろうそくをもって

人影を追いかけた。


運命は彼に、人影の人物を引き寄せた。

私の足は、知らず知らずのうちに

早まっていた――

おはようございます。

遅れての投稿となりました。

申し訳ございません。


続きます。

次話投稿予定は

2021.10.29(月)です。

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