第2弾 ダーティーボム
目的地が決まれば早速移動だ。と言うことで、インベントリーから足を取り出す。
ミリタリーバイク「カワサキKLR650」が実体化される。これは米軍でも制式採用されたことのある大型二輪だ。ちなみに、こいつのあだ名は“面妖バイク”である。
「ちょ!!おい!シキ!どこ行くんだよ!?」
ブォォン ブォォン
「ちょっとアウトレットまで行ってくるぜ!!」
ブォォ――ン!!
「ちょい待て!!」
「あばよー!とっちゃ―――ん!!!」
「……………中央のビジネス街に移動する。基本的にはガチ芋とゲリラ戦とする。それとユッケはビルの上から狙撃準備だ」
「敵の数が倍増してるんですけど……」
敵チームの人数は73人……2個小隊規模だ。ガチ芋でタゲ取り兼行動拘束と遊撃機動戦力を使った後方撹乱でなんとかといったところか……
「恐怖を運び、どこからともなくやってきて、敵に死をもたらし、すぐに消えてしまう、そして、どこからと現れて、一度狙撃をすれば、敵の士気はたちどころに消えていく……そうそれは」
無意識のうちに呟いていた“スナイピング・シスターズ”の幻の4人目“カルロス・プレゼンター”の詩の一つ。放浪楽師気取りのプレイヤーがBGOの酒場でギター片手に披露していたのを思い出す。センス皆無ですぐにいなくなったが。
「狂気の狙撃鬼“プレゼンター”……正直言って“スナイピング・シスターズ”は3人だけだと思っていたのだけど……」
ユッケがセリフをかぶせてくる。スナイピング・シスターズはスナイパーにとってあこがれの存在であると同時に畏怖と恐怖の対象でもある。その中でも“カルロス・プレゼンター”は異質の存在と言える。シスターズの中で唯一素性が割れていないプレイヤーで、ジャックザリッパーとしか思えない悪質なPKプレイヤー。その一方で、ショタコン・ロリコン撃滅委員会の名誉顧問に就任してるだかしてないだか。国内最大のBBSでは“カルロス・プレゼンター”はロリでロリコンの被害者なのではないか?と言う説が有力視されている。
―――シキ視点・アウトレットパーク正面エントランス―――
「わかってたけど広いなー」
おおよその総床面積が16平方キロメートル。中野区に匹敵する面積を持つ広大なアウトレットパークだ。さすがアメリカン。余裕のサイズだ。国土が違います。ちなみに、駐車場はピックアップトラックが6000台、大型トラックが2000台ほど駐車できるスペースが確保されていて、駐車場の端から店舗まで徒歩5分ぐらいかかる。さらに、店舗部分のすべての通路の幅が、3500㎜以上確保されていて、アメリカ製パレットが2つ置けてさらに1メートルの間隔ができるほどあると言うアメリカンな通路配置である。しかも、店舗のいたるところにリーチフォークではなくガソリン式カウンターバランスフォークが駐車しており、商品がパレットに乗せられていることを考えると、パレットごと購入する客がいるらしい。
先ほどから、アメリカン、アメリカンと連呼しているが、やはり銃砲店がある。そして、均土機が放置されている。ちなみに、俺は小型車両系建設機械の特別教育を修了している。ならば、これしかないだろう?
ガッシャ――ン!!
銃砲店は大量の武器弾薬が放置されている。AK-17が3丁、M39が2丁、M27が8丁、M110Aが2丁、M21が5丁にパイナップルが20個、レモンが30個、アップルが9個、スーパーバズーカが30本、バンガローが60本、155㎜砲弾が8発、81㎜迫撃砲弾が5発、40㎜低速高性能爆薬弾が60発、クレイモア20個という本当は軍の秘密備蓄庫なのでは?と疑いたくなるような在庫だが、ゲームの設定によるものだ。アラスカ油田をめぐり米中戦争が繰り広げられ、2077年に米中間で熱核兵器によるフットボールが発生、その後すべての核保有国間で核戦争が発生し、2時間後にはそれまでのすべての戦争で消費された以上のエネルギーが炸裂し、地表の人類の大半を蒸発させ、その後の各種災害で人類は数を減らしながら軍事施設や大型商業施設などに集結し、生存をかけた戦いに身を投じた。と言う設定がある。つまり、このアウトレットモールもその一つでこの銃砲店は臨時の弾薬庫だったのだろう。
そんなことを考えながら回収した武器に回復スプレーをかけていく。このスプレーは赤い円柱形スプレー缶に自転車のチェーンや歯車のイラストが描かれたスプレー缶でアイテムに吹きかけると耐久値が回復すると言うものだ。
アウトレットの屋上に上りとあるアイテムをインベントリーから実体化した。「日本光学製 Nobar7×50」という旧帝国海軍に納品されていた甲板見張り員用の大型双眼鏡だ。インディヴィジュアル・フォーカスであることを考慮しても、使いやすい双眼鏡の一つである。残念ながら、マーキング能力や集音マイク能力などは存在しないが、EMPの効果を受けず、ヒストリカルチャンネルでも使用できる点が気に入っている点である。
「おっ、あった。あった。距離3600の空港駐車場に数8だな。アサルト4にヘヴィーガナー2とランチャー2の火力馬鹿PTだな。ここなら一網打尽にできる」
空港駐車場には当然ながら大量の自動車が存在する。それも、燃料タンクにガソリンが残っているガソリン車だ。昔の人は言いました「新車だ!!殺せ!!」と。つまり、適当に攻撃すれば、大爆発すると言うわけである。
ダン!ダン!ダン!……ズゴォォォ―――ン!!!
このゲームの世界感では原子力自動車が普及し始めたところで2077年の核戦争が起こり、そのまま、地球人類は大半が滅亡した。と言うことになっている。だから、ガソリン車やディーゼル車、電気自動車の中に、原子力自動車が混じっているのだ。




