第二十四話 再開の誓い
「なんだろ。泣きたい気分じゃない。けれど、どうしようもなく嬉しい……」
とサキが言った。
「おーーーーい!」
コルンの声だ。
「上手くいったみたいでよかったよ。バーブのパンチを受けた時は終わったと思ったけど、そのあとのシンの分身にはびっくりした」
「コルンが向かってくれなきゃ、こっちも自爆の餌食だったさ。流石に俺の変身特技も、自爆は耐えられないからな」
「3人とも揃ったわね」
「そうだな。とりあえずお疲れ。まず、やることがある。俺たちの所有しているマイルを3等分しないと。その状態で全員がリタイアすれば、3人が同率1位で終了だ」
「よし、じゃあ私が1番多いから、2人に渡すわ。えっと……1人5万マイルずつになればいいから……よし、送ったわ。これで全員均等よ」
「ついに終わったな……1ヶ月の予定が意外と早く終わった。晴れて優勝か」
「もう今リタイアして終わらせちゃおうよ。話はそれからにしよう」
コルンの提案で、まずはこの特別訓練を終わらせることにした。
「よし、じゃあ……お疲れ様!!!」
全員同時にリタイアボタン押した。その後、シン達の元に大きなドローンが到着して、修理キットと燃料、充電を補給し、最初の島へと案内された。
島には、約30名ほどの人がいた。アーティーではなさそうだった。
「おめでとうございます。参加番組7番コルン様。26番サキ様。そして、120番シン様。あなた方3人が最後まで生き残り、全員同率優勝という形で特別訓練が終了致しました。それぞれに、決勝リーグ出場権とシード権が贈られます」
高級そうな服を身につける初老の男が近寄って来て言った。
「救護を受けられますか?」
医療スタッフらしき人物だ。
「はい。お願いします。背中パーツに少し損傷が……」
そういえば敬語使うのなんて久しぶりだ。急に現実に戻った実感が湧く。
「分かりました。では、そのあとでAIをお返ししますね」
さらに1時間後。遂に治療もAIの返還も終わった3人は、アーグラ期待してるよ。との声をかけられ、解散となった。スタッフ達は足早に去っていく。
「これで本当に終わったのね……」
どこか悲しそうな目つきのサキ。
「そういえば、2人の本拠地はどこなんだ? 俺は基本は旅をしてるが、一応東京に住所がある」
「東京か……微妙な遠さだね。僕は大阪だよ」
「サキは?」
「沖縄よ。ここからすぐ近くだわ」
「見事なまでのバラバラさだな。まあ俺達アーティーだから、会おうと思えば飛んでいけるけどな」
この3人で多くを語った。
「また会えるわよね。私とシンはH型、コルンはO型だけど、今回の訓練でそんなの関係ないってわかったわ。私は、その溝を埋めるためにこれからも旅を続けるわ」
「争いはくだらないよ。国同士で争ってるのに、国内でも争ってちゃダメだよ」
「同感だ。でも、次会う時はアーティカルグランプリ……敵同士かもな」
「ええ。そこでは負ける気はさらさらないわ。私が絶対に優勝する」
「僕も負けないよ。特別訓練で課題も多く見つかった。次会うときは飛び道具が倍になってたりしてね」
「絶対にまた会おう。俺も、スピードを倍にして臨む」
「それは速すぎて見えないわよ。棄権になるかもね」
そして、とうとう別れの時だ。
「コルン。俺もお前と手を組めて良かった。砲撃型で俺とのバランスも完璧だった。ありがとな」
「それはこっちのセリフさ。僕もシンがいなくちゃ優勝なんて到底無理だった。ありがとう」
「サキ。あの時声をかけて良かった。サキの防御があったからこその戦闘だった。何度も救われた。大規模イベントで任せたのは本当にすまなかったよ。ありがとな」
「そうね。流石にきつかったけれど、私も変身っていう新たな概念を掴めたし。それはそれで良かったわ。まあ、その……ありが……とう……」
「ああ。じゃあな。Hey,sari 飛行モード」
『了解 脚パーツ を 変形 します』
ウィーーーン ボォッ!
シンの足から、炎が飛び出す。そのまま、ゆっくりと上空へと向かった。
「また会おう。2人とも」
「約束だね」
「また会いましょう」
やがて振り向き、東京へと出発する。
……シュンッ!!
一気に加速する。もう沖縄は小さく見える。
仲間……か。
もうこんなに高いにも関わらず、2人の声が、まだ聞こえるような気がした。




