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AI棒  作者: 君名 言葉
第二章 特別訓練編
24/50

第二十四話 再開の誓い

「なんだろ。泣きたい気分じゃない。けれど、どうしようもなく嬉しい……」

 とサキが言った。


「おーーーーい!」

 コルンの声だ。


「上手くいったみたいでよかったよ。バーブのパンチを受けた時は終わったと思ったけど、そのあとのシンの分身にはびっくりした」

「コルンが向かってくれなきゃ、こっちも自爆の餌食だったさ。流石に俺の変身特技も、自爆は耐えられないからな」

「3人とも揃ったわね」

「そうだな。とりあえずお疲れ。まず、やることがある。俺たちの所有しているマイルを3等分しないと。その状態で全員がリタイアすれば、3人が同率1位で終了だ」

「よし、じゃあ私が1番多いから、2人に渡すわ。えっと……1人5万マイルずつになればいいから……よし、送ったわ。これで全員均等よ」


「ついに終わったな……1ヶ月の予定が意外と早く終わった。晴れて優勝か」

「もう今リタイアして終わらせちゃおうよ。話はそれからにしよう」

 コルンの提案で、まずはこの特別訓練を終わらせることにした。

「よし、じゃあ……お疲れ様!!!」


 全員同時にリタイアボタン押した。その後、シン達の元に大きなドローンが到着して、修理キットと燃料、充電を補給し、最初の島へと案内された。


 島には、約30名ほどの人がいた。アーティーではなさそうだった。

「おめでとうございます。参加番組7番コルン様。26番サキ様。そして、120番シン様。あなた方3人が最後まで生き残り、全員同率優勝という形で特別訓練が終了致しました。それぞれに、決勝リーグ出場権とシード権が贈られます」

 高級そうな服を身につける初老の男が近寄って来て言った。


「救護を受けられますか?」

 医療スタッフらしき人物だ。

「はい。お願いします。背中パーツに少し損傷が……」

 そういえば敬語使うのなんて久しぶりだ。急に現実に戻った実感が湧く。

「分かりました。では、そのあとでAIをお返ししますね」


 さらに1時間後。遂に治療もAIの返還も終わった3人は、アーグラ期待してるよ。との声をかけられ、解散となった。スタッフ達は足早に去っていく。

「これで本当に終わったのね……」

 どこか悲しそうな目つきのサキ。


「そういえば、2人の本拠地はどこなんだ? 俺は基本は旅をしてるが、一応東京に住所がある」

「東京か……微妙な遠さだね。僕は大阪だよ」

「サキは?」

「沖縄よ。ここからすぐ近くだわ」

「見事なまでのバラバラさだな。まあ俺達アーティーだから、会おうと思えば飛んでいけるけどな」


この3人で多くを語った。

「また会えるわよね。私とシンはH型、コルンはO型だけど、今回の訓練でそんなの関係ないってわかったわ。私は、その溝を埋めるためにこれからも旅を続けるわ」

「争いはくだらないよ。国同士で争ってるのに、国内でも争ってちゃダメだよ」

「同感だ。でも、次会う時はアーティカルグランプリ……敵同士かもな」

「ええ。そこでは負ける気はさらさらないわ。私が絶対に優勝する」

「僕も負けないよ。特別訓練で課題も多く見つかった。次会うときは飛び道具が倍になってたりしてね」

「絶対にまた会おう。俺も、スピードを倍にして臨む」

「それは速すぎて見えないわよ。棄権になるかもね」


 そして、とうとう別れの時だ。

「コルン。俺もお前と手を組めて良かった。砲撃型で俺とのバランスも完璧だった。ありがとな」

「それはこっちのセリフさ。僕もシンがいなくちゃ優勝なんて到底無理だった。ありがとう」

「サキ。あの時声をかけて良かった。サキの防御があったからこその戦闘だった。何度も救われた。大規模イベントで任せたのは本当にすまなかったよ。ありがとな」

「そうね。流石にきつかったけれど、私も変身っていう新たな概念を掴めたし。それはそれで良かったわ。まあ、その……ありが……とう……」

「ああ。じゃあな。Hey,sari 飛行モード」


『了解 脚パーツ を 変形 します』


 ウィーーーン ボォッ!


 シンの足から、炎が飛び出す。そのまま、ゆっくりと上空へと向かった。

「また会おう。2人とも」

「約束だね」

「また会いましょう」

 やがて振り向き、東京へと出発する。


 ……シュンッ!!


 一気に加速する。もう沖縄は小さく見える。

 仲間……か。

 もうこんなに高いにも関わらず、2人の声が、まだ聞こえるような気がした。

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