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バレンタイン戦役  作者: 龍田蔦々
東北円卓編
10/11

魔光石研究所 2

春休み終わったら土日が僕の時間になりました。

来週からGW!

最ッ高ーーーーォに最高サイコだぜ!

一時性魔力欠乏マヒ症候群。

魔力が欠乏することによって一時的に身体の一部が不自由になる病だ。

それが靴木の体でも発症していた。

「これはあの飲み物の影響ではないようだな。」

「はい、魔力を使い果たしたのが原因と考えられます。」

「にしても、足に力が入らないなんて。トイレに行くのも苦労するわね。」

車椅子に乗った靴木とそれを押す火採、そしてそれに付き添う組町は今浴室に向かっていた。

元々複数人での使用を想定した研究所なので(まさかを理解できるのが天井だけだとは思っていなかった)、大浴場が備え付けられている。

「しっかしいきなりお風呂に入りたいなんて言うから何かと思ったら。」

「これも魔力欠乏症の一つなのね。」

今回の風呂に入りたい、というのは体を暖めたいという欲求から来ている。

これも魔力欠乏症の一つの症状だ。代謝を上げることによって魔力の回復を早めようとする本能らしい。

「すみませんね。面倒をかけてしまって……。」

「気にするな。」

「そうよ。それにほら――」

そう言って火採が靴木の病院着をまさぐる。

「んなっ……ぁん!」

官能的な手つきが豊満な胸に容赦なく襲いかかる。

抵抗しようとするも、車椅子に乗った状態では上手く抵抗できない。

「むむむ、この生意気な乳デカ靴木め!こうしてやる!」

さらに組町も加わる。

襲いかかる『堕ちちゃいけないナニか』に鉄の意志で抵抗する靴木。

「くっ……こんな物に負けるもの……かっ!」

「ほう、あくまで抵抗するか。」

「でもね靴木くん、あなたより私達の方が――」

「「女歴長いのよ(んだぞ)?」」

「ヒッ!や、やめてくだs――」

さらに必死に抵抗するも、最早その程度の防御に意味はない。

女子組二人の顔に書いてある『問 答 無 用(慈悲はない)』に、靴木はただ、恐怖を感じるしかないのだった。

「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ―――ー――――!」



同じ頃。

灯と天井、二人っきりの部屋。

「……ジュースでも買いに行くかね。自販機かなんかありますか?」

「ないよぉ。そこにウォーターサーバーがあるからじゆーに飲んでね。」

「ういっす。」

灯は立ち上がり、ウォーターサーバーから水を注いだ。

ボコっ、と空気のはいる音が響く。

「さて、お話でもしましょうかねぇ。」

「……誰のですか。」

灯は不機嫌そうに言った。

「まずは君のお話から。」

そう言うと天井は書類を取り出した。

「君のカルテ、なかなか面白いじゃんねー。」

「見せ物じゃないッスよ、俺のカルテは。」

「それはごめんね~。で、最近どうなの?」

ずいっと身を乗り出し、目を輝かせる天井。

灯はそれに若干引きぎみになる。

「そんな直接的に聞かれるのは初めてですよ……まぁ、抑えられる程度ですね。」

「ふーん。」

いや、ふーんて……、と灯はつぶやく。

「でも、パックは飲んでるんでしょ~。」

「まあ、一応。」

「ほうほう。」

ニコニコして何かメモを取る。

取り終えると顔を上げてさらに質問する。

「次は靴木君のことなんだけど~。」

「靴木?だったら一応了承を……まぁ、いっか。」

自分が聞かれたのだから靴木も聞かれてしまえ、と割とクズなことを考えている。

「あの飲み物、マリョクビタン(ぜぇ~っと)には魔力欠乏マヒ予防薬が入ってるのよ。」

「……じゃあなんで靴木はなっちゃったんですか?」

灯がそう聞くと、天井は珍しく困ったような顔をして首を横に振った。

「分からないから言ってるんですよぉ。規格外の負荷がかかったぐらいしか思いつかないんですよねぇ。」

すると今度は灯が何か思いついたような顔をする。

「そう言えば、靴木何かやってましたよ。」

「な、何をッ!?」

ずずいずいっ、と身を大幅に乗り出す天井。

灯は完全にドン引きだ。

「ま、魔力を高圧で剣に込めて剣自体を魔力化する?みたいな。靴木は強化魔術を使うからそれを連発かなんかしたんだろう。」

怖かったので素直に答えた。

「魔力を高圧?……理論自体は通っている……しかし高圧魔力機があってこそ……そもそも強化はそこまで万能ではない……ううん、分からないなぁ~」

天井はぶつぶつと何かをつぶやいていた。

「ううん、分からん……まあ、後で考えよう。それより、組町はまだこんな事をやっているのか。」

心底呆れたようにそう言った。

「こんな事って、どんなことですか?」

「部下に慕われることだよ。」

灯はしばらく黙って頭をかしげる。

「それが、何か悪いことなんですか?」

「そうさ。少なくとも軍人という職種において、上官という業種において、部下に慕われることは士気を上げることにもつながるが、それ以上の信頼関係を築けば……どうなるか分かるよね。」

「……死亡率が高くなる。」

「そゆこと。」

灯はじっと空を見た。

「|《棺桶の釘》ですか。」

「そう。組町の嫌なあだ名だね。部下を殺しまくるからって……それでいて部下との信用が厚いのも酷い話だな。」



「ふぅ、良い湯だった。」

「ほんと、大浴場は気持ちいいわぁ~。」

「……もう、お婿に行けない……。」

お風呂組が帰ってくる。

「お、帰ってきた。おかえり~。」

「おかえりなさい火採さん!!」

まだ少し髪が濡れていて、体がポカポカと薄紅色の女子(?も含む)は三人とも色っぽかった。

さらに言えば病院着とパジャマだ。

何か良いにおいがするし、何か良いにおいがするのである。

そんなものだろう。

「ふぅ、で肝心なことを聞いてなかったんだが。」

「ん、なに~?」

「今回要請してきた理由は何だ。靴木の件だけではないだろう?」

組町が聞くと、天井は今し方気がついたような顔で言った。

「ああ、その件なんだけど――」

天井はガサゴソとファイルを取り出した。

さらにその中から写真を二枚取り出し、ベッドに付いたテーブルに滑らせる。

「これなんだけどね。」

それに写っていたのは巨大な砲門と艦橋(ブリッジ)

「こ、これは……」

「超大和級戦艦邪馬台(やまたい)型一番艦|《邪馬台》。正式に任務に就くまであとちょっとってとこだね。君たちにはこれの護衛、そして乗艦して琉球までの護衛をお願いしたい。」

それは、新しい時代の夜明けであり、先の見えない暗闇への扉だった。

眠いので冬眠したい。

おやすまない。

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