【第十三話】とある夢と原因について
たまーーーに起きた後すっごい虚無る夢ありますよね…w
あの現実離れした感覚、嫌いじゃない。
そして虚無るというワードを流行らせたい青日向ミアさんです。
今回もよろしくお願いします!
夢を見た。
仮想現実の空間でリスナーたちと触れ合う夢だった。
____ もうこの世界から出られないらしいけど、一緒に頑張りましょ
____ 今現実では俺たちはどんな風にされているんだろう…?
____ もう戻れないのかな、
「ダメだ、必ず俺たちで現実に戻る方法を見つけ出す…」
____ あ、 がぶさん、現実世界に配信、試しにしてみてください
ひょっとしたらできるかもしれないですよ、
俺はアイテム一覧から、PCを入力し取り出す。
そしていつも配信しているアプリ、ニヤニヤ動画を立ち上げ、
試しに配信ボタンをオンにしてみる。
刹那、視聴人数2000人が流れるように降ってきた。
「おい!繋がったぞ現実世界に!」
____ まじか!?お前らきこえるか!?
____ 現実世界のやつら〜!!きこえるか!
「ばか、俺の配信だよ俺の役目取るなっ」
○がぶさん!!!そっちでも元気にやってますか!?
○仮想現実から出れない…そんなことあるのか?
○もういっそこれって、仮想現実というより
もはや異世界的なものなのでは____
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全くもって不思議な夢であった。
俺は多少虚無感の残る重い頭を持ち上げ、外の景色を覗く。
夜の東京とは違う意味で活気があり、
すぐ近くの電車の地面を蹴飛ばす音と振動が微かに伝わってくる。
今日も1日が確かに始まっていた。
この東京を照らす朝日が全てを呼び起こすように。
暇だし廊下に出る。この景色がいつか最期の瞬間目に映る情景なのか。
そしてそれと同時にそんな死に際の人間を医者は毎日全力で
助けようと、頑張っているのか。
「……はは、医者様には一生敵いそうにないな」
そんな独白を1人、誰もいない廊下で、
否、後ろにもう1人。
「お兄さん昨日ぶりいいいいぃぃっ!!!」
バタバタ、と騒々しい足音を立て俺の重苦しい静寂を切り裂いたのは
昨日のイラスト厨………ではなく、元気いっぱいの少年だった。
「おう少年よ、どうしたんだ?」
また彼は昨日と同じように微かに顔を顰め、またすぐに元気に満ちた、
先ほどの朝日のような笑顔で返答をする。
「今ね、お兄さんに絵描いてたの、お兄さんの声、
なんか聞いたことあって落ち着くな…」
「まじで?お前の身内に声が似てるのか、はたまたどこかで
出会ってるのかな…?」
「んー、わかんない!」
溢れんばかりのの笑顔を振り撒いた彼は最後にこう言った。
「どこか離れちゃっても友達でいてね!!また明日!」
そうして彼は自室へ駆け足で直行した。
…まあ確かに俺が退院したら会えなくなってしまうかもしれない。
でもずっと友達だ。ああいうやつと将来一緒に飲んでみたいものである。
彼は不思議な子だなぁ、と思う。
俺がなんも悪いこと言ってないはずなのに、
よくわからないタイミングで顔を顰めてくる。
あの表情には、どこか怒りすら孕んでいるようにすら見えた。
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「大分、よくなってきていますよ」
医者の優しい声が響くここ、診察室なうである。
俺はアルコールの摂取のしすぎで一時期肝臓の数値がいかれていたものの、
点滴をブッ刺して一晩寝ているだけでほぼ正常値へ戻っていた。
それにしてもなんでこう、医者の一言というものは説得力が
あるのだろう。
「それにしても妙ですね…急にこんな数値が良くなるなんて私も初めて見ましたけど、」
そんな爆発的回復力が俺にはあるのだろうか。
俺がもしなろうに出ていたとしたら回復系チートイケメンになっていただろう。
……って思うと少し悲しくなるのはなぜだろう、ね、うん。
数値の上がり方、確かにあれは異常だった。検査前酒を飲んでリラックスしてから
健康診断行って…。
あ、
俺、検査時酒飲んでたから数値おかしくなったのか、馬鹿だ俺…!!
医者にこんな恥ずかしい事実を悟られたくないので
とりあえず今は超再生能力中年男の設定を貫くことにした。
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もう数値が完璧に正常になっていたが故に一週間後には退院できることとなった。
一週間後の配信、どんな配信にしようかな。
みんなではっちゃけたい、リスナーさんたちを見たい。
あと一週間の辛抱だ。この一週間、折角だから楽しもう、そう思った。
まさかの検査引っかかった理由は検査前酒を含んでいたからだった…!?
そしてあの少年(?)との今後の展開にもご期待ください!
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