5.美少女→おっさんの場合 その2―8
ゴリケルの手がついにルナの股間にまで伸びようとしていた。
「それじゃあこのまま……頂いちゃおうかしらッ!?」
「いい加減やめろって……言ってるでしょーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
我慢の限界はとうに超えていた。
ルナが絶叫した瞬間に、着ていた服の下から赤い光が溢れ出して、同時に激しい衝撃波が周囲に発せられる。
鏡は粉々に粉砕され、吹き飛ばされたゴリケルが突っ込んだことにより、個室のドアも真っ二つに割れていた。
ルナはハァハァと荒い呼吸をしながら、便器の上に倒れ込んでいるゴリケルにビシッと人差し指を突きつけた。
「勇者とか何だとか、意味の分かんないことばっか言わないでよ!? こっちだって、この世界に来てから分からないことばっかなんだから! あとアンタ、全体的に距離感が近い!!」
言いたいことを言って、少しだけすっきりするルナ。
そしてすっきりしてから――周囲の惨状に気がついて、青ざめた。
「な……ナニコレ? 私がやったの?」
「フフ……こんな力を隠していたなんて、紛れもなく勇者じゃない」
(生きてた!?)
ゾンビのように便器から這い上がったゴリケルを見て、ルナはガーンとショックを受ける。
「とっさに防御結界を張らなければ私も粉々になってたわ……。それにその言葉、どうやらアナタは本当に何も知らないようね」
「だ、だからどういう意味なのよ」
「こっちの話よん……っ! 侵入者をいち早く察知するのも、アタシの役目の一つだからね……っ」
そう言って、ゴリケルはボロボロの体を引きずるようにして、トイレから出て行こうとした。
「あっ、この状況は私がアナタにセクハラをしようとしてキレられた、ってことにしておいてあげるから。心配しなくていいわよぉ~ん」
「いや、それが事実でしょ!?」
ルナの心からの叫びはぶっ壊れた便器の中へと吸い込まれていった。




