4.潜入! 異世界ダンジョン!―8
洞窟内の湖から塩分を含んだ水を汲んだウォリは、急いでタモンの下へと戻っている途中だった。
(あの触手は通称“卵産みのニック”。人間の体内に卵を産みつけ、寄生することによって繁殖する、相当タチの悪いヤツのはずだ)
それを言うとタモンが怖がってしまうので黙っていたが、とにかく早く戻らないと、お嫁さん候補を触手に奪われてしまうのである。
(持ち堪えてくれよ、師匠っ!!)
だが、ウォリがタモンの下へと駆けつけて戻った時。
そこに広がっていたのは、目を疑うような、信じられない光景だった。
「そ、そんな……こんなの、有り得ないっ!!」
粘液と共に祭壇に広がる、夥しい量の血の後。
“魔遺物”の魔剣を引き抜いたタモンが、触手をズタズタに斬り裂き絶命させていたのだ。
「どうやったんだよ、師匠!? 人間の力じゃ、触手から逃れるなんて到底出来ないはずだぜ!?」
「お、襲いぞ……バカ」
ふらふらになったタモンは魔剣を杖代わりにしていたが、それでも体重を支えきれず、祭壇の下へと転がっていった。
ウォリは慌ててタモンの下へと駆けていく。
「師匠っ!! ……触手を刺激したんだろ、粘液の毒性が強まって、全身の筋肉が弛緩した状態になっている。このままじゃ呼吸が出来なくなって死ぬぞ、顔が真っ青だ」
「う……うぅ……」
ウォリの言葉にもロクに反応することが出来ず、焦点の合わない目は虚空を見据えていた。
早くどうにかしないと、脳に酸素が行き届かなくなり、死んでしまう。
ウォリはとっさにタモンの顔を上げさせると、その唇に、自身の唇を重ねようとした。




