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3.美少女→おっさんの場合―8

 気絶したフィリをベッドの上に戻したルナは、一度落ち着きを取り戻すため、部屋に備え付けのバスルームに入っていた。


 バスタブに顔の半分まで浸かって、ぶくぶくと泡を吹く。

 昔から考え事をする際によくやっていた仕草だが、ゴリゴリ男がそれをするのは目に余るものがあった。


(なんで、こんなことになったんだっけ)


 自分の体が父親のものになっている以前に、そもそも何故異世界に転生してしまったのか。

 その記憶はルナの中からすっぽりと抜け落ちており、原因はさっぱり分からなかった。


(最悪だよ、もうっ)


 鏡に映る自分の姿が目に入る度に、気落ちしてそのまま頭のてっぺんまで沈みたくなる。


 ルナにとっては、タモンは家と母を捨てていった憎き存在。

 家のことをずっとほったらかしにしていたのだから、今回の離婚も当然のことだと思っていた。


「……こんなに、ゴツかったっけ。クソ親父の体」


 十数年ぶりに見る父親の体は、幼い頃に一緒にお風呂に入っていた時のものよりも、かなり筋肉質になっているような気がした。


「友達の、二倍くらいは大きい」


 学校のプールで見た同級生の男子の体と比べると、腕周りやふくらはぎは比べ物にならないくらいに太さに違いがあった。

 腕や脛に生えている濃い黒い毛に触ると、何故だかとてもいけないことをしている気がして、胸がドキドキしてきてしまう。


「それにしても……」


 そしてもう一つ気になったのは、体中についている無数の傷の痕だった。


 学生時代はずっとラグビー部だとは聞いていたし、仕事は世界中を飛び回る商社マンだと聞いていたが。

 こんなに傷だらけになるものかと、ルナは少しだけ、タモンの仕事の内容が気になっていた。

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