2.おっさん→美少女の場合 その2―7
ピク、とタモンの耳が僅かに動いた。
「それはマジの話なのか?」
「マジよマジ、大マジ。実際、それを使った実験の記録の文献とかも読んだことあるし。もしも師匠の娘もこっちの世界に来てるなら、その杖を使えば一件落着かもな」
それしかない、とタモンは強く拳を握る。
「異世界ダンジョン!! もしもそれを見つけたら、是非とも挑んでやろうじゃないか!」
「お、やる気満々だな師匠! それだけのパワーを持ってるんだ、一緒に来てくれたらオレも心強いぜ!」
どの道、娘がこちらの世界に居なかったとしても、いつまでも女の体で居るのは不便である。
早く男の体に戻りたいと、タモンは二つの膨らみのシルエットを眺めながら思うのだった。
「…………うーむ」
それを複雑な表情で見つめるウォリ。
その意味深な視線に気付かないタモンではない。
「どこ見てるんだ。欲情したら殺すぞ」
「いや、欲情っていうか……それもそうなんだけどさぁ」
「さっきから客の男連中に、ジロジロと見られてフラストレーションが溜まってるんだ。女の子っていうのはこんな大変な目に遭いながら生きてるんだな。少し、考え方が変わった気がするよ」
「だから、大変な目っていうか……。あんまり言いたくないんだけど、師匠、気付いていないの?」
それまでずっと我慢していたが――ついに限界を迎え、ウォリはタモンの二つの膨らみにビシッと人差し指を突きつけた。
「それ、師匠がノーブラのせいだからな!? そんだけおっぱい魔人でブラも付けないなんて、どんだけ淫乱な女なんだよ!? サービスしすぎだろ!!」
胸元の膨らみには、突起のシルエットまでくっきりと浮かび上がっていた。