[三章-2:旅館《Inn》]
おそらく長い歴史を背負ってきたと思われる町、龍の谷の中心街にあるいかにも歴史のある旅館に優能力者学園もとい外交用名 国立秀雄学園のバスが駐車される。ちなみに課外学習は一泊二日で行われる、これまた今年から学園長の意向で始まったことだ。これを聞いた瞬間一馬は
(これ多分、校長の意向じゃなくてゆうちゃんの意向だろ。あの学園長、親バカならぬ孫バカだろ)
と思った。泊まる旅館、見るからに木製であるが、所々味わい深いとでも言うのだろうか木は黒に染まっている。瓦の屋根をかぶった扉の前には旅館の店員と思わしき人々がいる。事前学習で学んだことによるとここは災厄の被害を受け無かったらしいと、しばらく一馬が眺めていると、
「よーし、荷物を自分達の部屋に運べ」
と言う先生の声が聞こえる。一馬は自分の荷物を荷物の海から探し出し悠一と共に泊まる部屋、剣竜の間へと向かう。木の温かみのある廊下の所々に植物が飾られていた。部屋は外観から予想できるとおりの和室であった。そこに差し込む陽光は、雰囲気を増大させていた。そんな部屋を眺めたのはほんの少しで荷物を置いてすぐに出た。
———旅館の駐車場
空きスペースに集められた優能力者学園生徒に向かって先生がメガフォン片手に話し出す。
『今は予定どうりに行けている。これから行くのは龍の塔だ、そこで数十分の休憩の後、龍巫女様のお話を聞く』
生徒はぞろぞろとバスに吸い込まれていく。バスは町の中へと入っていき、龍の塔を目指す。




