[三章-序-2:災厄の始まり]
———災厄の数年前
人間は龍のおかげでその時代で最も栄えたと言っても過言ではないほど栄えていた。人間は、それでも更なる繁栄を求めた、尽きることのない欲望のせいで。しかし龍脈の所有権は龍にあった、そこで人間は龍を1から育て、龍脈のコントロールをわずかでも得ようと思った。そして、繁栄の為に多くの犠牲、時間を費やしようやく一つ卵を奪った。そしてそれをかえすことに成功した産まれた白き龍は希望と名付けられた。まぁ、この名は全く皮肉のようになるのだが。ホープは順調に成長した。大きく、人間と常に共に育っていった。そして少しではあるが龍脈のコントロールを得た人間は更なる繁栄を求めた、ホープに龍の卵の盗みを命令した。ホープはそれが悪意があると見抜けなかった、何故なら普通、龍はテレパシーによって人間と会話する、そうすると悪意などは不快感として、善意などは快感として龍に伝わるからだ、しかしホープは生まれた時から人間と共にいるので、空気を利用して話していただから表面を嘘でおおった言葉に気づけなかった。龍は盗みを働こうとした。
1匹の龍は地面に龍脈で造られた鎖によって拘束されていた。
「ぐぅぅぅ、許さん、私を裏切った人間を、私を拒んだ龍を!絶ッテェ……殺ス」
拘束された白き龍、ホープは卵窃盗が見つかり拘束されたのだ。さらに捕まったホープを見に来た人間は冷たくこう言ったのだ、
「このゴミが、まともに仕事もできんのか」
その言葉、そしていくら弁解しても自分を許そうとしなかった。その怒りのせいかなにかに取り付かれたようにホープは狂っていった。次第に白かった体は見ているだけで吸い込まれそうな漆黒に染まっていった。殺意、狂気、憤怒の化身である邪龍そのものの完成だ。
邪龍は有り得ない力を有しており、龍脈を捻じ曲げ、自らと同化させていった、闇を帯びた龍脈の完成だ。
「殺ス、殺ス、滅ボス、人間ヲ、龍ヲ、世界ノ全テヲォォォォォ!」
ホープ……いや元ホープそして現邪龍には自らを拘束していた、鎖などもう力を入れることなく弾けるようになっていた。邪龍の一撃は、雨垂れが長い時間かけて穴を開ける岩を一瞬で、雨垂れを馬鹿にするかのように一気に手が何本あればいいのかわからないほどの量を蒸発させる。邪龍は龍の谷へと迷うことなく向かい町を黒い炎、闇を強く帯びた龍脈で焼き付くさんとする。邪龍はいつの間にか人々の悲鳴に快感を覚えていた。それも自分を貶めた人間という種族の悲鳴だ、快感でないはずが無かった。
「フフフッ、死ネ、死ネ、我ヲ、貶メタモノ全テ!ソウダ、最ット悲鳴ヲアゲロォォォ!」
そう言いながら町を焼き尽くそうとしていく黒い炎がどんどんと広がる。しかし、龍神たちが黙っているわけが無かった。




