[二章-34:最終日《Last day》]
———そして最終日
一馬は外に出ていた御剣の前に立って一言
「…師匠…勝負です」
と言った。御剣は何かが気になっているような顔をしながらも頷きながら森の中へと向かっていく。
先ほどまで静かであった森に響き渡る金属音。交わる刀と刀。ぶつかり合う力と力。一馬は木と木の間を飛び回り地面に降りることなく御剣を全方位からの攻撃によって追い詰めようとする。しかし御剣は刀と体を動かし一馬の放つ攻撃全てを弾く。攻撃の手数、受けにくさをあげても御剣には通らない、だが御剣は明らかにこの状況をよく思っていなかった。御剣は顔を少し歪めつつ、反撃することなく受け続ける。一馬は加速し、攻撃の鋭さをさらにあげる。そうしてついに御剣の背後を取る。決まった、と思ったのと同時に風斬の鞘が腹にめり込む。加速していた分大きくめり込み、腹に穴が開きそうな程の痛みを感じながら勢い余って転がっていく一馬。一馬の周りに漏れ出している不安定な能力エネルギーの量が増え、一馬の周りに淡碧のオーラが現れる。
「……時間だ」
と御剣が言うも、一馬はその声が聞こえていないかのように再度攻撃を仕掛けるもその攻撃は鋭いが、突撃という余りにも単調すぎる攻撃だった。言うまでもないが、御剣には刀は届くはずもなく斬られる。血が出てくるも、その傷は驚くべきことにその傷はものの数秒で閉じてしまう。そして、一馬はまた突撃、そして斬られ、回復を繰り返す、その動きは一馬の意志を伴っているものとは到底思えない動きだった。そして、この時一馬は、ほとんどの能力者が能力者エネルギー切れで能力が使えなくなるエネルギー量をゆうに超えていた。しかし、突如として一馬は、突撃をやめ、御剣と斬り合いに持ち込もうとする。
「…はぁ…はぁ……負けてたまるか…」
一馬は御剣に斬りかかりながら、呟く。御剣は、
「どうして、そこまで強さにこだわる?」
と冷静に尋ねる。一馬が刀を振るうのは止まらなかったが
「……はぁ…はぁ…俺は…あの日、死んでいたんです…。妹に助けられた…。だから俺は…俺は!…雫の誇れる兄、そして雫を守れる兄なると誓ったんだ!」
と突如として一馬の周りに漏れ出していた不安定な能力エネルギーによる淡碧のオーラは、調律の取れた淡黄のオーラへと変わる。その姿に一瞬御剣が怯む。その隙を逃すことなく一馬は刀を振るう。しかしそれはギリギリで止められる、しかし続けざまに蹴りを放ち御剣を吹き飛ばす。一馬は自らの右手の拳を左手に押し付ける。右手付近を流れていたエネルギーが左手へと移る。そして右手を離し、手刀で突くようにして左手を見えないほど高速で突き出す。黒い刀が御剣へ向かって高速で伸びていく。御剣は、刀をその軌道上にのせる。




