[二章-15:片撃]
———森の中
夜の森の闇に比べてかなり弱々しい光がゆらゆらとする中、
「このライト電池大丈夫?」
と一馬はライトの様子を見て不安げに尋ねる。
「まー、かなり使ってないからな…持つかな?まぁ電池が切れるまでに終わらせればいいんだよ」
と御剣は答える。一馬が何かを言おうとした
刹那
「危ない!」
と一馬は御剣に弾き飛ばされる。御剣は剣の様なものを素手で掴む。
「出たなイノシシの長」
と御剣が言う。一馬はライトを声のする方へ向ける。すると見えて来たのは普通想像するイノシシの控えめに言って2倍ほどの大きさのイノシシだ。
「でかっ!」
思わず一馬は声を出す。
「いつもなら遊んでやるんだか、今は非常時だ!お前を食う!」
と威勢良く御剣が言う。イノシシは数本後退し、ぶふぅーと息を吐き突進。御剣は突進してくるイノシシを体を最小限に動かし躱しながら腰にかけた竹光で突進の勢いをそのまま使い顔に一撃。イノシシは前転して木に叩きつけられ気絶する。
「よーし、今日の飯確保」
と御剣が言う。二人で担ぎながら御剣の家に戻る。
———御剣の家
「ふー、食った食った」
と御剣は腹を叩きながら言う。
「以外と美味しかった」
「だな。夜は寝るまで片撃の練習だ」
「わかりました、お願いします」
「よし、よく見ておけよ。まずは刀を持たない方の手の人差し指と中指の第二関節あたりに力を溜めてみろ」
一馬は言われた通りにする。
「で、溜まったらそれを放つんだ。溜まったら感覚が変わるはずだから言え」
と御剣が言った、数十秒後
「きました!」
と一馬が言う。
「よし、この板の前で寸止めしろ」
と言われ一馬は言われた通りにする。拳は板の前で止まったが、バンと板は大きな音を立てた。
「これで板にヒビが入れられるようになるのが目標だ」
と御剣が言う。板は先ほどの一撃程度ではまだ、ヒビは入らないらしい。
「…先は長そうだな」
と一馬は呟く。




