[一章-15:贈り物《Present》]
———数十分後
一馬の父についての話が終わり、
「いや〜、話し込んでしまった、そうだそうだ海馬くんにこれを渡すようにと頼まれてな」
と学園長は後ろの棚から銀色のバングル取り出し渡す。一馬はとりあえずつけてみると割とよく似合っている。
「にぃ、似合ってる」
と雫。褒められ一馬は照れる。嬉しそうに
「これは、お土産か?」
と尋ねるというよりか独り言を言う。
今まで海馬は、兄妹に記念日でもない日にプレゼントをあげたことなどなかった。それどころか誕生日すら忘れかけていて時雨にすごく怒られていたなんてこともあるぐらいだ。
「話は以上だ、ありがとう一馬くん」
と急に真面目に言う学園長。
「いえいえ、こちらこそ貴重な話聞けてよかったです。父の頼みまで聞いてくださって」
と全力で丁寧に話そうとする一馬。
学園長は愉快そうに
「はっはっはっ、気にしなくていいよ、元々この学園の生徒の頼みだからな」
と答える。いい孫にいい性格と今のところ非の打ち所がない。
あっこの人いい人だと悟る一馬。ドアを開け一礼して学園長室から出る。
夕日が廊下を赤く照らしている。
「いい人だったな、雫」
と一馬。
「にぃ、そのバングルについてる傷が文字に見える」
とバングルを見つめながら言う。しかし一馬には全く傷が見えない。夕日に当ててみたりしてみるも、見えないので、
「雫、読んでくれないか」
と言う。雫はなんで見えないの?と言いそうになるも、
「にぃ、読むよ、この文字を学園長が気付かなかったら電話してくれって書いてある」
とゆっくりと読み上げる雫。
どういうことかしばらく考える一馬。
と、おもむろにスマホを取り出し電話をかけ
る。




