[一章-12:劣能力者《Poor ability's》]
雫を呼び、第4職員室へと向かおうとする。
「にぃ、その人誰?」
と一馬と同じ反応に
「いやはや、兄妹で同じ反応とは困ったものだな。僕は神谷悠一、以後お見知り置きを」
と丁寧に自己紹介され
「私は斉藤雫……雫って呼んでいいよ」
と照れながら答える。
「じゃあ僕は…………」
「 …ゆうちゃん、とかどう?」
と被せ気味に聞く雫。
「ふふっ、さすが兄妹といったところか、あだ名まで同じとは。これも同調シンクロ率高さの理由か、よろしく雫、」
と悠一。
ん、と答える雫。
「突然だが第4職員室に一緒に来てくれないか?」
と悠一。
「にぃ、も行くなら」
と雫。悠一は頷き、歩き始める。仲の良さそうな二人に、
「おい!妹に手を出したら許さんからな!」
と急に口を挟む一馬。
「分かっているけれど、肝に命じておこう」
と悠一は流し話を続ける。
「さて、本題だ。雫、一馬以外に能力強化共有ネクトできる人は見つかったかな?」
と切り出す悠一。
雫の能力強化共有はほとんどデメリットがないのだが、クラスS-の理由がある。
それは、能力強化共有ネクトできる対象の条件がわからないことだ。前にも記した通り雫は現在一馬以外と能力強化共有できない、仮にできたとしても、雫と一馬程の同調率は出ないだろう。それほど一馬と雫の同調率の高さは群を抜いている。
さて、前に一馬が劣能力者だといった。
皆思ったであろう、では何故優能力学園に通っているのか、と。その答えは一馬が、雫の能力の対象者だからだ。雫の能力は対象者がいてこそ発動できるものだが、対象の条件がわかっていない。しかし彼女は小学生の中学年の段階でクラスS-以上確定という逸材だった。だから、対象の条件を明確にするために唯一の対象者である一馬を特例として優能力学園への入学を許可したということである。
悠一の質問に対し
「ううん、誰もいない」
と答える雫。
「やはりか、……ん?ちょっと待ってくれ」
何かを感じたような悠一は、歩みを止め、手から光る小さな球体を発生させる。それはまさに蛍のような球体。




