ほ、惚れ直した
「まっ、このジュース分は働きますか。あっ、冷たくておいしい」
「ボクたちのために買ってきてくれたんだろうね」
ジュースを飲みながら、冷えていることに驚くミチル。
渚の言う通り、まだキンキンに冷えていることからこのジュースを買ったのは直近である。
「先生の奢りも悪くはないな」
「だよね~。ねぇー茜ちゃん、一口ちょうだい」
「良いよ、はい」
「ありがと~」
茜の言う通り、自分で買ったものよりも他人に買ってもらったものの方がおいしく感じる。
早苗が一口だけ飲ませてほしいと要求すると、茜は嫌な顔一つせず、それが当たり前かのように早苗に一口上げる。
今さら間接キスで騒ぐほど、二人は子供ではない。
早苗がお礼を言うと、茜も嬉しそうな表情を浮かべる。
「ボクも一口良いかな?」
「べ、別に良いわよ。べ、別に、意識なんて、してないんだから」
二人の行為を見て羨ましく思った渚はミチルにミチルが飲んでいるものを一口だけねだる。
ミチルは物凄く意識しているのか、カミカミだったが嫌がってはいなかった。
二人が一口ずつシェアしている姿を見て、早苗と茜も思わず微笑む。
その後、ジュースを飲み終えた四人は職員室へと向かう。
「これは結構重いわね」
「私も二個ぐらいまでしか持てない」
「私も。一回で運ぶのは難しそうね」
ミチルと早苗は段ボールを持ち上げるものの、二個までが限界で三個は無理だった。
女の子の茜も二個までは限界で、一回で運びきるのは難しそうだった。
「……うぅ、男として情けない」
「そんなことないよ。私も持てないし、二回運べば良いんだけなんだから」
渚の前で格好良いところを見せたかったミチルは、女の子と同じ個数しか持てなかったことに自己嫌悪している。
そんなミチルを慰める早苗。
早苗もミチルも男の娘としては華奢で、女の子と同じぐらいの力しかない。
「三人とも二個は持てるから、残り四つはボクが持つよ」
そう言うと渚は、いとも簡単に四つの段ボールを持ち上げる。
渚は身長が大きいだけではなく、ガタイも良くこの四人の中では一番力がある。
女の子なのに凄い力持ちである。
その後、早苗、茜、ミチルの三人が二つずつ運び、残り四つは渚が全て運んだ。
「さすが渚ね。ほ、惚れ直した」
「ありがとうミチル。ミチルに褒められるとボクも嬉しいよ。ボクはいつも惚れてるよ」
逞しい渚を見て、さらに惚れるミチル。
ミチルに惚れられた渚は満更でもない表情を浮かべ、ミチルに甘い声を出す。
その瞬間、ミチルの顔が一気に赤くなる。
「ミチルちゃんが照れてるー。可愛いー」
「ホントだ。可愛いねミチル」
「二人ともからかうなー」
照れてるミチルを早苗と茜は微笑ましそうに見ている。
それが気に入らなかったのか、ミチルは二人に噛みつくもののそれもまた可愛い。
三人はクスクス笑い合う。
その後、いつもとは違う制服で遊んだ後家に帰るのであった。
スラックスはスラックスで良いのだが、やはりスカートを履いて放課後遊ぶのはまた違う楽しさがあって楽しかった。




