これって結構ヤバいですよね
ある日の休日。
早苗は茜と一緒にお出かけをしていた。
早苗は白のオフショルダーに桜色のフレアスカートを履き、茜は黒のTシャツに黒のスキニーパンツを履いている。
早苗は可愛いを中心に服装を選んでいるが、茜は黒が好きなので黒を中心に服装を選んでいる。
そのため、休日の茜は黒一色になりやすい。
「やっぱり夏はスカートだと涼しいわ~」
「そうだね。でもちゃんと日焼け対策はしないとダメだよ。肌を痛めるから」
「大丈夫。ちゃんと日焼け止め塗ってるし、常備してるから」
学校の制服はスラックスのため、足回りの風通りは最悪である。そのため暑い。
だが休日は好きな服装を着ることができるため、そんなことを悩む心配はない。
その分、日焼け対策に気を使わなければならないのは億劫だが。
もちろん、焼きたくない早苗は日差しが当たる部分には日焼け止めを塗ったし、ポーチの中にも日焼け止めは入っている。
日焼け対策は完璧である。
早苗に日焼け止めを見せつけられた茜は可愛い弟を見るかのように優しかった。
「早く夏になれ~」
「夏は楽しいけど暑いのは嫌だな」
「それは分かる。でも夏だと海やプールに入れるから好きだな。暑いのは嫌だけど」
「あと虫も嫌」
あと二か月も過ぎれば本格的な夏が訪れ、夏休みも始まる。
茜の言う通りうだるような暑さは嫌いだが、その分海やプールで遊ぶことができる。
暑い日の海やプールほど気持ちの良いものはないだろう。
「虫よけ対策もしないとね……」
暑さに加えて夏は、虫が大量発生する季節である。
早苗も茜も虫が嫌いなので、虫の大量発生も憂鬱である。
「このぐらいの暑さがちょうど良いんだけどね」
「だよね~。春とか秋ぐらいがちょうど良いのに。夏は暑すぎるし冬は寒すぎる」
「しょうがないよ。日本は四季があるんだから。でも逆に考えれば一年に四つも違う季節があるってことだよ」
「確かに。春は桜を見て夏は海に入ったり花火をして、秋はスポーツしたりおいしい物を食べたり、冬は白銀の雪を見る。確かに同じ場所でこんなにも季節によって景色が違うのって凄いよね」
誰もが共感してくれることだと思うが、一年で過ごしやすい季節は春と秋である。
夏は暑すぎるし、冬は寒すぎる。
だが、逆に考えれば一年間で四つも季節があるということだ。
確かに夏や冬は過ごしにくいが、夏には夏の良さがあるし、冬には冬の良さがある。
そう考えると確かに退屈はしない。
「ここって結婚式場だよね」
「そうだね。あたしの両親もここで結婚したって言ってたな」
「茜ちゃん家もそうなんだ。私の両親もここで結婚したって言ってた」
結構式場前を通った早苗と茜は一度立ち止まる。
ここの結構式場は、この町でも有名な結婚式場だ。
早苗の両親や茜の両親もここで結婚式を上げていた。
「結婚か……全然想像できないや……」
「大丈夫、あたしもだよ。それにあたしたちはまだ高校二年生だし、結婚なんて想像できなくて当たり前だよ」
高校二年生の早苗にとって結婚は未知の領域だ。
彼女もいないのに、そのさらに先の結婚なんて想像もできない。
それは茜も同じらしく、結婚が想像できない早苗に優しく寄り添う。
「どうしましょうどうしましょう。今日撮影のモデルさんが渋滞に巻き込まれて時間まで来れなさそうなんですか」
「そう聞いたけど。それにしてもマズいな……これ以上時間が押すと撮影が間に合わない」
「これって結構ヤバいですよね」
「結構じゃなくて完璧にヤバい」
親たちが結婚した結婚式場を見ていたらスタッフの慌ただしい声が聞こえてきた。
「なんか慌ただしいね」
「そうだね。聞こえてきた話を聞く限り、今日撮影あるけどそのモデルさんが渋滞に巻き込まれて来れなくてピンチらしいね」
「大変だね~」
結婚式場のスタッフには申し訳ないが、早苗たちは部外者だ。
もちろん、早苗と茜からすれば他人事である。
結婚式場前で茜と駄弁っていたら、不意に結婚式場のスタッフと目が合う。
スタッフの若くて美人の人がが早苗たちを見つけた瞬間、まるで肉食獣のように目つきを変え、全速力で駆け寄って来て土下座した。




