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第六十九話 あの日、見たサクラ

「で、サクラをおもいっきり怒らせたと」


「うむ」



俺が気がついたら陽依(ひより)がやって来ていてテナと何やら話し込んでいた。



「死ねばいいのに」



陽依はため息をつきながらそうぼやく。

そこまで言うかよ?

俺そこまでのことしたのか?

しかめっ面で俺が考え込んでいると、陽依はやれやれといった仕草をしてかぶりを振る。



「ほんと、あんた忘れてんの?」


「何をだ?」


「何をだって……。はぁ。ホント、サクラかわいそ」


「むう……」



俺の目の前にピンと一本の指が突き立てられる。



「ヒントその一。それはとてもとても大切な約束です」



大切な約束かぁ……そんな約束したっけなぁ。



「ヒントその二。それはサクラにとって忘れようもないことです」



忘れようもない事って言うと、昔のことって事だろうか。

うーん……。



「あんた、まだ分かんないわけ?」


「そう言われてもなぁ……」


「じゃあヒントその三。それは幼い頃の約束です」



幼い頃の約束……。

幼い頃の約束?



「あー……」



そうかもうあの約束の日か。

スコーンと忘れ取ったわ。



「やっと思い出したみたいね、オッサン少年」


「オッサンって言うな。まぁ……しかしそうだな……サクラには悪い事をしたな」


「そうですねぇ。サクラ姉様可哀そう」



言いながらも何がおかしいのかくふふと含み笑いをこぼすテナ。

可哀そうとか言いながら含み笑いしてる辺り、こいつも何考えとんのかよう分からんな。


しかしどうするかな。

あの時は一時の恋慕だと思っていたのだが。

今でもあいつは俺の事を想っているらしい。

それはとても喜ばしい事ではあるのだが、本当に俺なんか見たいな中身オッサン野郎で良いのかと思ってしまう。

本人がそれでも良いって言うならそれでも良いんだろうか。

うーん。

まぁ良いか。


俺も覚悟を決めないといけない時期に来ているんだろうなぁ……。

ぶっちゃけサクラの事は嫌いじゃない。

むしろ好ましい位だ。

立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花。

まさに好物件だ。


……でもなあ。

サクラをそういう目で見てると、陽依のやつがすげー顔で睨んでくるんだよな。

それさえなければいいんだけどなぁ……。

陽依も陽依で何考えとんのかよう分からん。


とりあえず、明日サクラに会ったら謝っておくか……。


―――


翌日。

相変わらずサクラのご機嫌は斜めだった。



「なぁサクラ、昨日の事は悪かった」


「本当に悪いと思っていますか?」


「ああ、本当に申し訳なかった。あんな大事なことを忘れているなんて」


「ならそうですね。それじゃあ、来週の放課後。家の近くの公園に来てくれませんか」



言いながら顔をうつ向きサクラは頬を朱に染める。



「……ああ、分かった」



公園か。

あの公園にも最近はお世話になっていないな。

剣の修行は学園の訓練室を使わせてもらっているし。


ともあれ放課後だ。

俺は覚悟を決めなくてはいけない。

これからサクラとの関係が変わってしまうことになってしまっても。

俺は答えを出さなければいけないのだ。


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