馬車内で(2)
沙耶とリサが笑顔で見つめ合っているが、雰囲気がめっちゃ怖いんだけど!
「え、え~と、リサにいくつか教えてもらいたいんだがいいか?」
「チッ」
えっ、沙耶舌打ちしなかったか!ここにきて沙耶が変わってるような気がするんだが!
「何ですかお兄ちゃん?」
「いや、何でも…」
そんなこと本人には言えないけどな!
「はい、何でもお聞きしてください。お答えできる範囲で何でもお答えしますよ。」
リサは満面の笑みでこちらを見てきた。
「そうだな、まず知りたいのがステータスだな。一般の人のステータスがどれくらいが平均的なのかも知りたい。」
「ステータスですね。では、ユウ様達と私のステータスで確認していきましょうか。ステータス見せていただけますか?」
「わかっ「待ってください」
ステータスをリサに見せようとすると、沙耶に止められた。
沙耶は、先までとは違い真面目な表情でこちらを見てきた。
「ステータスを見せる前にお聞きしたいことがあります。ステータスは、本人が許した任意の人しか見せることが出来ません。ステータスを見せることによって、発生する危険とかはないのですか?」
「そうですね、こればかりは信頼されていなければ難しいかもしれませんが、先ずは私のステータスをご覧ください。“ステータスオープン”」
そういうと、リサは俺と沙耶にステータスを開示した。
《ステータス》
【名前】リサ=ミラージュ (人族) 女
【Lv.】15
【称号】王女
【能力値】体力 : 50/50 魔力 : 505/505
【スキル】癒しの光
「こちらが、ステータスの表示です。こちらを誰かに見せることによって、危険がないとは言い切れません。たとえば、【スキル】であれば、人によって持っている種類も数も様々ですし、それを見せることによって、見せた相手と交戦した場合、手の内を明かしていることになります。【能力値】も同じですね。ですので、本人が許したものしか見せれないのですよ。それに、遺憾ではありますが、差別もあります。ステータスにある、【称号】や人種によって、差別される人も少なくないんですよ。ですので、ステータスはむやみやたらに見せびらかす人もいないんですよ。」
確かに、能力値やスキルが分かっていればそれ相応の対応が取れる。それが、バレた上での交戦は不利な状況は確実だろうな。
それに差別か。この世界でもあるんだなそういうの。
「分かりました。“ステータスオープン”これが私のステータスです。」
「良いのですか?私はあなたの敵になるかも知れないのですよ?」
「リサが見せたんです。私も見せなければ公平じゃありませんから。それに、私そこまで嫌な女じゃありませんから。」
「ありがとうございます。」
先までとは違い、沙耶もリサもいい雰囲気だ。
二人とも、根が優しいんだろうな。
と、俺も見せないとな。
「“ステータスオープン”これが俺のステータスだ。」
「ありがとうございます。」
リサはそういうと、俺と沙耶のステータスを見た。
すると、リサは驚いた表情でこちらを見た。
すぐに、ステータスへと目を落としゆっくりと見ていく。
見終えたのか、ゆっくりとこちらに顔をあげた。
「ステータスの平均が知りたいと仰られていましたね。先ずそちらから説明いたしましょう。
【能力値】ですが、こちらは人によって様々です。生まれながらにして持つ才。そして、日々の鍛錬や、経験によって変動致します。その平均としては、一般的な人“体力 30 魔力 30 下級冒険者“体力 100 魔力 110”上級冒険者“体力200 魔力300”騎士“体力250 魔力400”魔術師“100 魔力500”です。一般的な平均はこのような感じです。上には上がいますし、下には下がいます。それを含めた平均ですので、一概に言える平均ではございませんが。
ですが、ユウ様やサヤの能力値は、超越しすぎだと思います。このようなステータスは初めて見ました。
これは、私の考えなのですが、このステータスはあまり他言したり見せたりしないほうがいいと思います。力を持つものを利用使用とするものもいれば、その力を邪魔と思い排除しようとする者もいます。ですので、ユウ様とサヤの安全の為にもそうしたほうがいいと思います。
もちろん、私も他言は致しません。」
こちらの反応を伺うように沙耶と俺を見つめる。
「そうですか、確かに面倒ごとは避けたいですし、リサの言葉に従うとしましょう。」
「そうだな。リサ、俺らのこと考えてくれてありがとうな。」
そういうと、リサの頭を撫でた。
リサは、顔を赤くして俯き、沙耶はそれを見てため息をついていた。
「の、能力値についてはこんなところですが、後は他のステータスですね。名前と種族、性別はそのままのとおりですが、Lv.は、経験をつむことで、あげることが出来ます。経験をつむといっても様々ありますが、魔獣の討伐や、物の生成、魔術使用等による経験が主です。Lv.が高い=経験豊富だと思ってください。
称号は、詳細は分からないのですが、時々変わったり、増えたりします。神や神に近しい者が個人に与えていると教わっております。称号が、ステータスに影響を与えることはないです。
スキルですが、こちらは神の恩恵だといわれています。どのようなスキルがどれだけあるのかは分かりませんが、人によって様々なスキルが与えられています。こちらも、称号同様で、いつの間にか変わったり、増えたりするそうです。」
「なるほど。大体理解は出来た。でも、神の恩恵やら曖昧なことが多いな。」
「申し訳ございません。」
リサの話を聞き、思ったことをつい口にしてしまうと、リサが申し訳なさそうに謝ってきた。
「いやいや、リサが悪いわけではないし。それに、説明分かりやすかったぞ。ありがとう。
そういえば、魔術師がいるといってたが、魔術って何なんだ?」
「魔術は、法則にそった術式に魔力を流すことで、火や水を操ることが出来ます。ですが、魔術には五大元素というものが有り、「火」「水」「地」「風」「空」それとは別に、「闇」と「光」があります。これは、個人が持つ魔力の素質により扱える魔術が変わってきます。
そして、先ほど言った、術式に魔力を流すというのは、魔力で術式を描くことでそれが出来ます。それをするには、実際に物に術式を書き出す方法と、頭の中で描き出す方法があります。これが、魔術です。
魔術とは別に魔法というものががあるのですが、魔法は魔力と元素の使用は同じです。ですが、術式を基としていない力です。魔法とは、そのものを創造する事で操ります。
創造しやすいように、言葉にしたり詠唱を唱えたりするのが一般的です。
魔術と魔法似てはいますが、違うものなんです。これは、魔力と個人の素質によって、魔術が得意、魔法が不得意などあります。私の場合、魔術が得意ですので、頭の中で術式を描きこのように発動させます。」
リサがそう言い、片手を前に出すと、手のひらに術式が浮かび、そこから小さな火が出た。
俺と沙耶はそれを興味津々で覗き込んだ。
すごい、まさにファンタジーだな。
やべ、ますますワクワクしてきた。
「素質といってましたが、それを調べる方法はあるのですか?」
「ありますよ。では、これからユウ様とサヤの素質を調べて見ましょうか。」
「「お願いします!」」
勢いよくお願いした俺とサヤを見て、嬉しそうにリサが微笑んだ。
リサもなんだかんだ言って、楽しそうだな。




