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帚木と空蝉
琴の音も月もえならぬ宿ながらつれなき人を引きやとめける
琴の音も月もえもいわれぬ美しいお宅ですが、つれない人を引き留める事は出来ないのですね。
※殿上人が冗談交じりに男の冷淡さを詠んだ歌。
山がつの垣ほ荒るともおりおりにあはれはかけよなでしこの露
山家の垣根は荒れていても時々は可愛がって下さい、撫子の露のように。
※頭中将の恋人、夕顔が訪れの無い頭中将に贈った歌。
咲き混じる色はいづれとわかねどもなほ常夏に如く物ぞなき
庭に咲き混じる花はいずれも美しいがやはり常夏の花が一番美しい。
※頭中将が夕顔の機嫌を取る為に贈った一首。
数ならぬ伏屋に生ふる名のうさにあるにもあらず消ゆる帚木
取るに足らぬ家に生きる私は情けないですから、見えても触れられない帚木のように姿を消すのです。
※「中の品の女」空蝉が光源氏へ送った返歌。
空蝉の身を変へてける木の元になほ人柄の懐かしきかな
衣を脱ぎ捨てて去って行ってなお、貴女の人柄が懐かしく思います。
※自分の前から去った空蝉に光源氏が送った歌。




