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藤原仲文と大中臣能宣と壬生忠見
藤原仲文
ながれてと契りしことは行末の涙の川を言ふにぞありける
流れてと約束した事はその行く末が涙の川を流れる事を言っていたのですね。
※将来を誓った女性が亡くなり、その兄弟に贈った歌。悲しみが溢れてくるような歌ですね。
大中臣能宣
昨日までよそに思ひしあやめ草けふ我が宿のつまとみるかな
昨日まで無縁だと思っていた菖蒲草が今日、我が家の軒端を飾っているのを見ます。
※「五月、菖蒲ふきたる家のはしに、人ながめてゐたるところ」の屏風に詠んだ恋を匂わせる夏の歌です。
壬生忠見
焼かずとも草は萌えなむ春日野をただ春の日にまかせたらなむ
焼かなくても草は生えるのだから、春日野をただ春の日に任せて欲しい。
※春の若草が萌えた野は野焼きをしないで欲しいという心を詠んだもの。自然の生命力を感じるのは今も昔も変わらないと思います。




