91番から94番
おしなべて木の芽も春の浅緑松にぞ千代の色はこもれる 後京極摂政前太政大臣(九条良経)
一様に木の芽も張り、春の浅緑色に覆われておりますが、松にこそ千代の色が籠っています。
※奇をてらう事も無い一般的な賀歌になります。こういった所を好む人は今も昔も居ると思います。
本当は幾つか候補があって、決められなくてアミダくじで選んだんですが。まぁ、歌の多い方なのでね。
藤原忠通(76番作者)の孫。藤原俊成(83番作者)を師として、従者に藤原定家(97番作者)がいます。
ひとりのみ岩井の水をむすびつつ底なる影も君を待つらし 二条院讃岐
一人で岩井の水を掬いながら、底に映った影も君を待っているようです。
※題に「泉にむかひて友を待つ」とあるので、「君」は友、「影」は水底に映った自分を表しているのでしょう。
岩井は岩の間から湧いた泉を井、つまりは井戸にした物。
咲きしよりかねてぞをしき梅の花散りの別れは我が身と思へば 鎌倉右大臣(源実朝)
咲いた時から惜しまれる梅の花。散り別れるのは我が身だと思えば・・・
※梅の花よりも先に自分の命が散るだろうという意味でしょう。実朝の歌には自分の死を予感しているかのような物が数首あります。
源頼朝の四男(北条政子にとっては次男)で、鎌倉幕府第三代将軍。甥に暗殺されています。個人的には、幼名の千幡が結構気に入っています。
いかにせむ行方も知らぬ玉櫛笥再び逢はぬこの世なりけり 参議雅経(飛鳥井雅経)
どうしようか・・・行方も知らない娘の魂と再び逢えないこの世なのでしょう。
※「亡者の小手箱を布施しけるに、なかによみて入れける」歌。この歌を詠む二月程前に娘を亡くしています。
後鳥羽天皇(99番作者)から殊更思い巡らせて歌を詠むと評価されています。




