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オレとカノジョのヒーロー活動  作者: 赤城青
第二章 地下世界の怪物
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第四幕 呪われた末裔 ④

「……我々はルーシィの異能をスキルと呼んでいる」


 そう答えるのは日ノ本の民を代表する孔袁のおっさんだった。

 超能力が呪いなら、スキルは祝福ってところか。

 今更だが、どうしてそのような異能の力が生み出されたのだろうか?

 超能力とはなんだ? なぜ呪われた?

 精霊とはなんだ? 祝福ってなんだ?

 どうして、オレはいままでなにひとつ疑問を抱かなかった?


「……ナギは?」

「貴方はルーシィさんのような祝福を獲得し、孔袁さんと同じくヴィランの能力をより濃くしています。ナギには認識阻害は通用しないでしょう。そして…………いえまた今度にしましょう」

「…………ナギってもしかして優秀?」

「わたしより優秀かもしれません」


 確かにナギのあの氷結もルーシィと同様に能力のオンとオフがある。

 そしてその威力は比べるまでもなく強力。

 下手したら都市最強の雅鳴よりやばいのでは?


「話が脱線しましたので結論から言います。バベル上層部にはわたしの認識阻害が効かない存在がいるでしょう」

「それってルーシィのような存在ってことか?」

「肯定です。そしてわたし達の動きはもう把握されていると思われます」


 そんなとんでもない事をさらっと言われた。


「そんなわけない、よ? どうしてそんな結論になった、の?」

「バベルの行動がわたし達の想定であまりにも早かった。たまたまあの場所に最強の一手を投入する神読みなど未来を読んでいるようなチートじゃなきゃ説明は出来ません。それをやったであろう人物は西郷雅鳴の話からも監督者だと推察出来ます。考えすぎかもしれませんが、貴方達の言っている予言者と同様なチート持っていると予測されます」

「って事は?」

「待ち伏せに遭遇すると思われます」


 ならダメじゃんと思う反面、考えすぎだろと言いたくなるが、あの時あのタイミングで雅鳴が来た件についてはオレも気になっていた。

 ただ未来が視えるとして、あの結果になったという事はそこまで万能ではないのだろうか?

 まだたまたまの可能性もあるが、セイラの話を前提に考えたほうがよさそうだ。

 

「孔袁さんはどう思、う?」

「……我も同意見。待ち伏せはある」


 断言しちゃったよ。

 

「……待ち伏せがあるとしたら、その協力者って信用は出来るのか?」

「できないんじゃな、い?」

「いやできないのかよ」


 困ったように年配の孔袁のおっさんに視線を送る。

 すると、孔袁の顔は本当に僅かにしからめた。


「……この協力者は一言で表すなら三重スパイだ」

「「……さんじゅうすぱい??」」

「そいつ自身がそう言っていた」


 オレとナギは仲良くハモる。

 いや、三重スパイって三つの勢力のスパイとして活動しているって事か?


「日ノ本の民の味方な時もあるし、聖來都市の味方をして私達の敵な時もある、ね」

「……己の目的の為に我々を利用し、我らは利用する関係だ」

「日ノ本の民と聖來都市のスパイ? うんうん。あと一つは?」 


 それだと二重スパイなのでは? 


「聖來都市は魔窟だ、よ。影に隠れている厄介な組織もある、よ」

「……魔窟って、そんな悪の組織みたいな感じか?」


「ガーディアン」


 ルーシィと孔袁のおっさんは思わず目を丸くしていた。

 そう答えたのはナギだった事にオレは戸惑った。


「ナギ?」

「……ガーディアンという顔役のグリードという男に追いかけられた。待ち伏せがあるならきっとそいつだと思う」


 ガーディアン? 聞いた事ないが、守護者の暗部組織ってところか?

 二人の反応を見たところその協力者のスパイ先は正解のようだ。

 どうやらその協力者はその組織に情報を送り、罠を張っていると孔袁のおっさんは考えているのだろう。

 孔袁のおっさんが警戒しているだけで、十分に厄介な連中なのは想像出来てしまう。


「……グリードという名前に聞き覚えがある、ね。交渉役に前に出たり、なんでも不死身だって、ね」

「不死身?」

「我の仲間が額に弾丸を喰らわせて生きている」

「…………そういうカースなのか?」


 不死身のカースというのは珍しいが観測されている。

 そういう異能を持っているのは非常に厄介だな。


「……違う。あれは不死身とかじゃない」

「どういうこ、と?」

「……うまく説明出来ない」


 ようは敵には不死身に近い厄介な奴がいるって事か?


「そもそもガーディアンとはなにを守っているのでしょうか?」


 とそんな事を疑問を投げかけるセイラにオレ達は思わず呆然とする。


「ヴィランからこの都市じゃないのか? それが守護者のやり方だろ?」

「そうですね。守護者はこのヴィランを倒し、この都市を回しています。ですが、ガーディアンは? その名が付けられている理由があるならそれ相応のなにかを守護しているのでしょう」


 どうやらセイラは守護者という組織を隠れ蓑にガーディアンという組織があり、そのなにかを守護しているのではと考えているようだ。 

 それにしても魔窟か、聖來都市って闇深かったのか。


「……我々も詳しくない。だが聖來都市を潰す為の障害には違いない」


 聖來都市を潰すというのは孔袁のおっさんにとっては決定事項なのだろう。

 孔袁のおっさんもルーシィと同様に聖來都市を恨んでいるのだろうか?

 

「そうですか。そんな勢力が我々を狙っている中でどうやって都市脱出する策はありますか?」

「……追跡者の排除だ」


 孔袁のおっさんは簡潔にそう告げる。

 まるで最初からそれが狙いだったかのように狩人の目をしていた。


「という事はその協力者からの罠も、その追跡者を誘き寄せる為の罠だったというわけですか」


 頭の回転が速いセイラはそう結論つけたが、まだ話についていけてないオレとナギは呆然とする。


「……相変わらず、わかりにくい、ね」

「どういうこと?」

「都市脱出を行う為には我々の動きを把握している追跡者の排除は優先事項でしょう。なので協力者は日ノ本の民への罠を仕掛けると見せかけて、その追跡者を釣り上げる罠を仕掛けたでしょう」


 ナギの疑問にセイラはそう結論つける。

 つまり待ち伏せさせる事が目的だった?

 それも聞く限り、接触すら難しい存在。そいつを引き摺り出せただけでもその協力者は随分と食わせ者だ。

 一体、どんな奴なんだ?

 バベル上層部の権限を持っていて、その上で秘密組織に潜伏できる強固な精神の持ち主。

 …………まさかな。


「そういう事であれば、わたしから一つ提案があります」



      •



 あれから話し合い、色々と検討した後にオレ達は出発した。

 セイラの認識阻害である程度のルートを通り、定期的に整備されている人通りのほぼない地下道ルートを歩く。


「よくこんな通路よく知っているな。もうダンジョンだろ」


 迷宮区にはよく人が迷い込み行方不明になる事件が絶えない。バベルも複雑化した経路を完全に把握していないので、各組織にマッピング情報の提示を呼びかけている程だ。

 マッピングをして稼いでいる人や案内人などで稼いでいる連中もいるとの事。


「……ママンがいざっという時に役に立つとシュミレーターで教えてくれた」

「前にその話は聞いたが、そのママンは一体何者なんだよ」

「ママンは研究員。なんの研究しているかわからないけど」

「第六層の研究員か、話で聞くと数少ないエリートしか立ち入りが出来ないとされる階層か、セキュリティレベルも高いし、気軽には立ち入れないな」

「……うん」


 ママンが守護者の連中に捕まるまで、ナギは匿わられた階層。

 ナギの件が落ち着いたら、ママンの件をどうにかしてやらないとな。

 雑談を交わしていたオレ達に非難の目を向けるルーシィに気付く。


「……随分、余裕だ、ね」

「…………ごめんなさい」


 オレは素直に謝罪する。

 クレイジーガールに逆らえば、またバレットヘブンにさせる。


「てか孔袁のおっさんがいるなら、この変にいるチンピラなんて怖がる事ないだろ」

「……そうだ、ね」


 孔袁のおっさんは先導し、前を歩いている。

 その存在感からこの変に住まう獣類や生物は怖がって近寄ろうしない。


「なあ、孔袁のおっさん」

「…………」


 オレが話しかけると、なんだと無口に視線をオレに向けた。


「孔袁のおっさんが戦う理由って聞いていいか?」


 ふとそんな事が気になってオレは躊躇う事なく聞いた。

 ルーシィと同じのようで、その瞳からはルーシィと違った色がしている気がする。


 

「…………我の息子は聖來都市に殺された」

 

 


 

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