第9話
1日遅れだあ
やっぱりこの時期は忙しい……
時は昼過ぎのちょうどランチタイム。
眩しく照りつける太陽にいつの間にかもくもくと出てきた入道雲、あれは隠岐だろうか……遠くに島まで見えるほど天気の良い日だ。
まさに絶好の海水浴日和であるそんな中、真司はポツンと一人で浮いていた。
2機の敵機に追われここまでかと感じた瞬間、咄嗟の判断で射出座席を使い非常脱出したので命は助かったのだ。
しかし、そのまま海に投げ出されたので救援が来るまでは海の上で漂い続ける事になる。
幸い放り出された座席に位置情報発信器が付いているため、事態が収集すれば救援挺が来る筈である。恐らく戦闘がいまだに続いているのであろう。
「まーだ終わんねぇのか…奴らもしぶといねぇ」
今の戦況を確認しようとさっきから非常用の無線で声を拾おうとしているが、非常用の物だからなのか上手く聞き取れない。雑音の中でたまに聞き取れるかどうかだ。
唯一確認できるものと言えば……さっきから頭の上で飛び回る戦闘中から感じる“戦闘中”というものだけである。
「F-2の音が聞こえてもしゃあねぇんだよ…」
また一機飛んできたようだ。鼓膜を破るのかというほどの「キーン」という音を響かせながらこちらへと近づいてくる。
徐々にその姿が大きく見えると、どうやら被弾して逃げ帰るようなのか、黒煙をたてているのが見えた。
「あらー…やられちゃってるわ。しかもありゃ追いかけられてんじゃねぇか?」
目を凝らしてよく見ると、後ろから一機追尾してきているのが分かる。機体損傷で戦線離脱した機を追いかけてきたという構図のようだ。
しばらくすると追いかけている戦闘機が遂にトドメの攻撃に入る。逃げている方は右へ左へと逃げ回るがもう既に機体の限界は来ていた、無理な動きをするごと小さな爆発と黒煙が出てくる上に動きも遅くなり被弾してしまう。
「やっぱやられるかぁ…でも逃げてるのまで撃墜しに来るってことは戦闘は収まってきてるのか?」
ふと考えているうちにぐるぐると真上で飛び回る戦闘機は遠くから見てもエンジンから火が出るが見えてくる。どこをどう見ても最早アレはもうダメだろう。
爆発する前にと射出装置を使ってパイロットが出てきたと思うと……
「おい待てこっちに機体落ちてんじゃねぇかよ!!!!」
——————————————————————————————————————————————今回の兵器紹介
F/A-3戦闘機(通称“ゼロ・ネクスト”)
基本性能
乗員 1名(一部2名)
全長 15.60m 全幅 12.12m 全高4.46m
エンジン IHI製 F5-12
最大速度 マッハ1.9
フェリー飛行時航続距離 4,200km
兵装(F-3A・対空戦闘時)
住友金属製 S-31 30mmリヴォルヴァーカノン
11式空対空誘導弾 (AAM-6)×8
13式空対空誘導弾 (AAM-5)×8
2012年(平成24年)から導入された多目的・攻撃戦闘機。老朽化の始まったF-2の置き換えや日本近海での防衛・攻撃力強化を目指している。
日本軍と三菱重工が中心となって開発した純国産戦闘機で、F-2の技術を継承しつつも新しい機能や性能の向上が図られた。
前型のF-2との大きな違いとして、対艦攻撃へ特化した攻撃機があるため機種を表す記号に「A」の付く派生型が存在し、兵装を変えることによって強力な対艦攻撃や対地攻撃を可能とした機が存在する。




