エピローグ
本日二話目です。読み飛ばしにご注意ください。
1月12日 『悪役令嬢の執事様』コミカライズ版の一巻が発売予定。
2月5日 『悪役令嬢のお気に入り』書籍一巻が発売予定。
執事様、コミカライズはガンガンONLINEのアプリなどでも読めるのでぜひぜひご覧ください。
国王陛下から言葉をもらった後。
クリフォード王子が俺達の元へとやってきた。
「ノア、クラウディア、ティリア。素晴らしい活躍だったね」
「俺達はただ出来ることをしたまでです」
「そうだね。そしてそれが、僕にとっての追い風となった。心から感謝するよ」
あの後、エンド王子は国王陛下からキツい叱責をされた。遠回しな言い方ではあったが、彼が王太子に選ばれることはないだろう。そういう内容の叱責だった。
「お祝いをしたいところだけど、今日はこれから王城でパーティーがあるんだ。キミ達への感謝と御礼は後日としよう。なにか欲しいものを考えておくといい」
クリフォード王子はそう言って立ち去っていく。
ちなみに、意識を失ったエンド王子も運ばれていった。パーティーがあるとのことだが、あのままパーティー会場に運ばれていくのだろうか?
完全に、公開処刑な気がする。
そんな風に考えながら見送っていると、メリッサがエンド王子の後を追い掛けていく。落ち込んだ彼に付け込んで、自分の言いなりにするつもりなのだろうか?
俺の視線に気付いたのか、不意に振り返ったメリッサが俺をみて無邪気に笑った。
……怖い女である。
だが、俺達はすぐにそれどころじゃなくなった。
国王陛下から言葉を賜ったチームとして一躍ときの人となって、縁を繋ぎたい者達に囲まれた。とくに、クリフォード王子に取り次いで欲しいという話が多い。
という訳で、俺はティリアを生け贄にしてクラウディアと逃げた。
逃走先は屋上。
普段は使われていない秘密の場所である。
そんな屋上のフェンスに寄りかかり、クラウディアに視線を向ける。
「……ようやく静かになったな」
「うん。でも……ティリアちゃんをおいてきてよかったの?」
「あいつなら、上手く逃げられるから大丈夫だ」
俺よりもよほど要領の良い妹だ。
今頃とっくに逃れていることだろう。
「それより、俺とクラウディアの関係、live中継で知れ渡っちゃったな」
「あぁうん。ノア様は……嫌だった?」
「まさか。むしろ、クラウディアが嫌かなと思ってた」
傷心のガゼフを気遣ったとかもあるが、それが一番の理由だ。
そう答えれば、クラウディアはぶんぶんと首を横に振った。
「嫌なんかじゃないよ。私はノア様の隣に立つために聖女になったんだから、ノア様が嫌じゃないって言ってくれて、凄く、凄く嬉しいよ」
「……そっか。じゃあ俺もクラウディアにお礼を言わなきゃな。おかげで、キミともう一度会えた。聖女になってくれて、ありがとう」
互いに微笑み合う。
俺が少し顔を寄せれば、クラウディアも同じように顔を寄せた。そうしてお互いに顔を寄せ、やがて――二人の距離がゼロになる。
そして――
「お兄ちゃんっ、自分達だけ逃げるなんて酷いっ!」
「ノア、約束通り、クラウディアちゃんとの関係を話してもらうぜ!」
バーンと屋上の扉が開かれ、ティリアとガゼフが踏み込んできた。
彼らは俺とクラウディアを見比べ――
「あ~その、昨日は我慢したもんね。邪魔してごめんね?」
「ま、その……なんだ、関係はよく分かった。見せつけられるとは思わなかったけどな」
二人はそう言って「「お邪魔しました」」と帰って行った。
視線を戻せば、クラウディアが真っ赤な顔でぷるぷると震えている。
「ノ、ノア様のせいなんだからね!?」
相変わらずの責任転嫁である。
俺は苦笑いを浮かべ、可愛い聖女にもう一度キスをした。
お読みいただきありがとうございました!
コイに堕ちた悪役聖女はナナバイ可愛いの一章はこれにて閉幕となります。
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