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最上階

 スライムは俺達から一定の距離を保ち、軟体生物のように緑色の身体を揺らしていた。この番人の縄張りに侵入した者は、殺人光線をその身に受けなくてはならなかった。


「エリクのおじさん。いつでもいいわよ」


 俺達の先頭に立ったクレアが、両手で魔法の杖を握りしめていた。クレアに続きイバト、ネテス老人を抱えたユリサ、コルカ、ザンカル、クロシード一味の順で並んでいた。


 最後尾に立つ俺は、逸る赤毛の少女をなだめてその時を待たせる。俺は待った。この四階に上がってくる者達を。


 俺達が登って来た階段から足音が聞こえてくる。俺は右手を挙げて、クレアにあと少し待てと伝える。


 階段から次々と甲冑の騎士達が姿を表す。その数六人。続いて灰色のローブを着た地底人が二人躍り出て来た。


 レメル達と地底人が数を減らしていたのは、下の階でユリサの狙い通り共倒れしたのだろう。


「おのれ!ユリサ!地底人!貴様等に聖竜は渡さんぞ!!」


 レメル隊長が頬から血を流しながら叫んだ。地底人の二人も武器を騎士達と俺達に向ける。


「今だクレア!!走れ!!」


 俺が叫んだ瞬間、クレアを先頭に俺達は駆け出した。レメル達と地底人も直ぐ様俺達の後を追って来た。


 喰い付いて来た!俺は内心ほくそ笑む。スライムの左半身に三つの眼球が身体の中から浮き出て来た。


 三つの眼球から光線が放たれる。クレアは既に魔法障壁を張っていた。


 光線が障壁に当たり光が弾けた。拡散した光線がこの階層の各所に当たり爆発する。クレアは見事に番人の殺人光線を防いだ。


 俺達はクレアが持ち堪えている内に登り階段に駆けて行く。そして、スライムは更に幾つもの眼球を身体に浮き上がらせ、レメル達や地底人を光線で狙い撃つ。


 怒号と悲鳴。爆発音と砕け散る瓦礫が散乱して行く。クレアが登り階段に辿り着き、後続の者達が次々と上の階へ登って行く。


 最後尾の俺が階段に達した時、障壁を張り続けるクレアの全身は震えていた。誰の目にも限界なのは明らかだった。


「クレア!!良くやった!!」


 俺は走りながらクレアを抱きかかえ、登り階段に滑り込んだ。炸裂する爆発音を聞きながら、俺は階段を急いで上がる。


 力を使い切ったのか、クレアは一言も喋らなかった。ポンコツ魔法使いと言った事は撤回しよう。


 俺は心の中でそう思っていた。お前は大した魔法使いだ。この塔を無事に出る事が出来たらそう伝えよう。俺はクレアを抱えながらそう考えていた。


 俺は遂に最後の階。五階に上がった。先に上がったコルカ達が立ち止まっていた。俺はこの階層の中央に置かれていた石像を目にした。


「······あれが聖竜と天界人の石像か?」


 それは、背中に羽を生やした天界人が白き竜を何処かに誘うような形をした石像だった。


 その石像の下に、別の小さな石像があった。身体を鎖で縛られた、単眼の異形な化物の石像だった。


「······何だ?この揺れは?」


 コルカが周囲を見回しながら呟く。足元に感じた軽微な揺れは、直ぐに大きな揺れに変わった。


 激しい揺れと共に、この塔全体が浮き上がって行くような感覚を俺達は感じでいた。


「······これは!?この塔が動いているのか!!」


 俺は叫びながら立つ事が困難になり背中から倒れた。


 


 





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