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赤毛の少女の疑惑

 二階の番人は灰色のローブを纏っていた。フードを深く被り、表情はこちらから伺えない。右手には杖を持っており、魔法使いと思われた。


 どちらにせよ、こんな塔にいる番人など化物の類に違い無かった。


「ところでじいさん。魔法石は何処にあるんだ?」


 新たな敵を目の前にしても、ザンカルは冷静その物だった。自分の目的を思いだしたようにネテス老人に問いかける。


「若いの。お前さんの目の前にあるぞい。この虹の塔は全て魔法石で出来ておる」


 ネテスの返答に、ザンカルは呆れた表情で自分の周囲を見渡す。


「······この塔全体が魔法石なのか?」


「そうじゃ。じゃからここでは魔法の使い手が有利なんじゃ。魔法石は魔力を増幅させる。その魔法石の建物の中で魔力を使えば、嫌でも使い手の魔力に好影響を及ぼすのじゃ」


 ネテス老人の説明に、俺達の視線は一人の少女に注がれた。二階の番人は魔法使いタイプ。そして、俺達の中には魔法使いが一人だけいた。


「クレア!見せ場だぞ!あの番人をやっつけちゃえよ!」


 イバトが勢い良くクレアの背中を叩いた。その衝撃でクレアはよろけながら番人の前に躍り出た。


「ま、まま任せなさいよ!あ、あんな奴等、私の魔法でイチコロよ!」


 全員の期待を一身に背負った重圧の影響か、赤毛の少女の口調はしどろもどろだった。だが、クレアの魔法の精度は何故か上がっている。


 魔法石で造られたこの虹の塔が近くにあったのが原因だろうか?とにかく今のクレアはポンコツ魔法使いでは無い事は確かだった。


 番人が杖をかざして来た。その瞬間、杖から閃光と共に雷撃が放たれる。これは、かなりの使い手だ!


 俺達を襲った光の筋は四方に乱舞して弾けた。クレアが魔法障壁を張り番人の雷撃を防ぐ。


 すかさずクレアも杖を振り、火炎の呪文を唱えた。炎の濁流は番人の正面に唸りを上げて放たれたが、番人も障壁でそれを防ぐ。


 それからクレアと番人は互いに攻撃呪文を唱え、互いに障壁でそれを防いだ。


「すげぇなクレア!お前まともな魔法使いみたいだぞ!!」


 イバトは称賛しているのか貶めているのか分からない言葉を大声をクレアにかける。だが、イバトの言う通りだ。このクレアの変貌振りは何だ?


 魔法石の影響がそれ程あるのだろうか?俺の訝しげな表情にネテス老人気づき、その理由を聞いてきた。


 俺はクレアのポンコツ振りを短くまとめネテス老人に伝える。


「ああ。それはあの娘の擬態じゃな。わざとそう振る舞っておったのだろう。ワシが見る限り、あの赤毛の娘は自分の魔力を完全に制御下に置いておるぞい」


 ネテス老人の説明に、俺とイバトは絶句する。擬態?あのポンコツ振りが故意だった?俺は改めてクレアを見た。


 クレアと番人は互いに火炎の呪文を放ち、両者の中央で炎と炎がぶつかり合い鍔迫り合いをしていた。


 その時、俺達の後方から突然雷撃が飛来して来た。雷撃は俺達の頭上を通り過ぎ、番人の身体に直撃した。


 番人は痛手を負ったらしく、唱えていた火炎の呪文が急激に弱まった。その瞬間、クレアの火炎が番人の火炎を蹴散らし、そのまま番人の身体に直撃する。


 全身が炎に包まれた番人は力尽きたように倒れた。俺達は誰か雷撃を放ったのか確かめる為に後ろを振り返った。


 そこには自称貴族出の男、クロシードが偉そうな笑みを浮かべ立っていた。


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