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虹の塔

 それは途方も無く巨大な地下空間だった。その中央に白い塔が鎮座していた。塔の頂上を見上げると、天井の岩肌との隙間も十分にあった。


 太陽の光など届く筈も無い地下の中は明るかった。地下空間の壁や天井には、無数の光点が光り輝いていた。それはまるで、夜空に輝く星のようだった。


「光っておるのは発光石じゃ。お陰で地下でも明るさに不便せんのお」


 呑気に灯りの正体を明かす老人に、俺は顔を向けた。


「······ネテス老人。あんたは以前にもここに来た事があるのだろう?この地下は。あの白い塔は一体何なんだ?」


 完全に逃げそびれた俺は、せめて現状を把握する為に老人に問い質す。


「言ったじゃろう。あの白き塔は橋じゃよ。天界と地上を繋ぐ虹の橋じゃ」


 ネテス老人は白い眉毛の下に、眠そうだが何処か懐かしそうな目で塔を見ていた。


「······あれは六十年前の事じゃ。ワシが冒険者だった頃、瀕死の聖竜を保護した事があっての。様々な難事を経て、この地下空間に辿り着いた」


 老人の声が地下空間に響く。全員が固唾を飲んでネテスの話の続きを待つ。


「この塔の最上階に聖竜と天界人の銅像がある。その台座に聖竜を置いた時、地上と天界が繋がるのじゃ」


「······繋がるとどうなるんだ?」


 コルカが腕に抱えた聖竜を見ながらネテス老人に質問する。


「······聖竜は天界に帰って行くのじゃ。何故なら、聖竜は元々天界の生き物じゃからな」


 ネテスの話す内容は、俺達の日常とは余りにもかけ離れ過ぎていた。


「とにかく塔を登ろうよ。俺達その為に来たんだからさ」


 イバトはそう言うと、先陣を切るよう塔の入り口に歩いて行く。ネテス老人にも急かされ、俺達はイバトの後に続く。


「······確か塔は五階立てじゃ。おいイバトとか言う子供。気をつけろ。塔の中には······」


「うわあああっ!!」


 ネテス老人が何か言いかけた時、塔の一階に足を踏み入れたイバトの絶叫が聞こえた。俺達は急いで塔の中に入る。


 中は外と同じく発光石が四方に埋め込まれ明るかった。そして天井も高く広さも十二分にある。


「気をつけるんじゃぞ。各階には番人がおって襲って来るからのお」


 俺達は地面に蠢く無数の影を見た。それは人の頭だった。人の生首に蜘蛛のような足が何本も生えている。


 生首はその足を起用に動かし移動していた。


「じいちゃん!!そう言う言葉最初に言ってくれよ!!き、気持ち悪いなこいつ等!」


 イバトが最もな抗議をネテス老人にする。生首はこちらに気づき、一斉に向かって来た。


「クレアはネテス老人と共に後方へ退がれ!全員横一線に並び生首を後ろに通すな!」

 

 俺は剣を抜きながら叫んだ。非戦闘員のネテス老人を守りながら戦う。俺達にはそれ以外の選択肢は無かった。


 俺の目の前に生首が足を使って跳躍して来た。俺は両手で柄を握り生首の中央を両断した。


 この生首。見た目程戦闘力は無いのか。だが、俺の予想は直ぐに裏切られた。生首は口から炎や吹雪を吐いてきた。


 だが、それらは見えない壁に弾かれ俺達には届かなかった。これは魔法障壁、クレアか!!


 野党に放った爆裂の呪文と言い、ポンコツ魔法使いが急に目覚めたのか!?ザンカルとコルカは大剣を右に左に振り、蝿を叩き落とすように生首を蹴散らす。


 ユリサは正拳突きを生首の両眼に打ち込み、敵の視力を奪う。イバトは素早く生首の死角に回り込み、力任せの斬撃で致命傷を与える。


「······数が多過ぎる。中央を突破して上り階段まで辿り着くぞ!」


 俺達は密集体型で生首の群れを突破した。その先にある階段を登り始めると、不思議と生首達の追撃は無かった。


「追ってはこんよ。奴等は階層の番人じゃ。自分の担当する階に侵入した者のみを襲って来るんじゃ」


 ネテス老人が経験者らしくあの化物達の性質を話す。二階に上がった俺達は、次なる番人を目にする事となった。


 


 


 

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