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白き聖竜

 白く汚れ一つ無い鱗。長い胴体からは四肢の鋭い爪が蝋燭の灯りに反射していた。白い竜は身体を巻き眠っていた。


「······本当だ!これ、蛇じゃない。竜だよエリクのおっさん!」


「す、凄い!私初めて見たわ!それにしても綺麗な竜ね」


 俺の背中から子供達が顔を出す。お前達コルカへの警戒はどうした?俺はコルカを無言で見る。


「······昨夜俺をつけて来たのか。畑でこの聖竜が野菜を食べている所でも見たか」


 コルカはため息混じりに呟き腰を岩の上に降ろした。


「教えてくれないかコルカ?この白い竜は君が買った魔物なのか?」


 魔族であるコルカが、魔物製造を行うバタフシャーン一族から魔物を購入したとしても特段おかしい事では無かった。


「······この竜は魔物では無い。人間や魔族などより太古の昔から生息していた聖竜だ」


 コルカの言葉に俺は絶句する。聖竜など、おとぎ話の世界の登場する架空の生物の筈だ。


「数は僅かだが、聖竜は存在する。お前達の目の前の竜がそれだ」


 コルカは説明を続ける。コルカは一年ほど前まで南方の国にいた。その国にある聖なる森と呼ばれる場所で、コルカは聖竜と出会った。


 その時聖竜は傷つき弱っていた。聖竜は用心深く、何人にも心を開かない生物だったが、何故かコルカにだけは懐いた。


 コルカは四手一族が聖竜の守護者だと言う言い伝えを思い出し、聖竜を治療し世話をした。


 その森でコルカと聖竜は過ごしていたが、付近の住民の噂となり、森を出て宛のない旅に出た。そしてこの洞窟に辿り着いたと言う。


「そ、そうだったんだ。それにしても聖竜ってもっと巨大な生物だと思ったわ」


 クレアがまじまじと白い竜を眺める。確かにこの竜は大蛇くらいの大きさだった。


「······小娘。聖竜を侮るなよ。古来から聖竜は世界を滅ぼす力を持つと言われているんだ」


 コルカの低い声に、クレアとイバトは神妙な顔をしてつばを飲み込む。


「コルカ。君はこの聖竜の力を見た事があるのか?そもそもこの竜が聖竜だと何故断定出来るのだ?」


 俺は動揺からか、矢継ぎ早にコルカに質問を重ねる。


「······力を見た事は無い。確証も無い。だが、この竜を初めて見た時、竜の側に瀕死の四手一族の男が倒れていた。その男は死ぬ間際に俺に言った」


 コルカはそこで言葉を止めた。俺達はコルカの話の続きを待つ。


「······聖竜の力を利用しようとする者達からこの竜を守ってくれと」


 コルカの言葉に、俺は背中に冷たい汗が流れるのを感じた。まずい。俺は本能的にそう思った。


 冒険者などと言う生業をしていると、きな臭い話は大抵察しがつくようになる。この件に深く関わっては駄目だ。


 俺はそう判断し、早くここから立ち去る事を決めた。


「······何の音だ?」


 音など何も聞こえなかったが、コルカは洞窟の出口の方角を見ていた。暫くすると、複数の足音が洞窟内に響いてきた。

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